仮説力

2007.12.07

仕事術

仮説力

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

情報収集をしようと思えばインターネットと検索エンジンがいつでも使える。 考えをまとめようと思えばいくつものフレームワークが存在する。 しかし、それらを使っても、理論構築にかかる時間やその仕上がりには個々人で大きな差が生じる。 それは「仮説力」とでもいうべき能力の差だと言えるだろう。

確かに検索エンジンは便利だ。頭に思い浮かぶキーワードを検索窓に入力し、ボタン一発で様々な情報を掲出したサイトの候補が表示される。
しかし、問題はこの後。多数リスティングされている候補サイトから欲しい情報を取捨選択するのは意外と難しい。
複数のキーワードをスペースでつないで入力・検索すれば、さらに絞り込み検索ができることももはや一般的になった。
だが、これもどのようなキーワードをつないでいけば、より求めるサイトにヒットするのかが、検索の巧拙の分かれ目だろう。

検索能力はもはやインターネット時代に求められるリテラシーの一つといっていい。より的確に短時間で検索成果を上げるために求められるのは「仮説力」だ。
「このような文脈で自分が求められる情報は語られているに違いない」と仮説を立ててキーワードをつないでいく。漫然と思い浮かぶキーワードで検索を繰り返すより格段に成果が上がるはずだ。
漫然と検索しても、仮説を立てて検索しても、検索エンジンは結果を表示してくる。しかし、その結果の差は大きい。
一見差がわからないが故に、便利な機能に依存して仮説力を働かせない人も多い。

さて、検索をして情報が集まったら、その情報を整理して自分なりに考えをまとめる段階になる。そこで役に立つのがフレームワークだ。
マーケティングでよく使われる環境分析のツールはPEST、3C、5F、SWOT・・・などなど。また、施策に落とし込むならSTP、4Pと、もはや定番となっているものも多い。
しかし、ここでも要注意なのが、フレームワークという思考の補助ツールに頼りすぎて仮説力を忘れてしまうことだ。
分析は思い込みを排してフラットに行うのが基本だ。
しかし、何の仮説もなしに進めるとなかなかそこから意味合いが見えてこないのも事実。ともするとフレームワークを使った単なる情報整理で終わってしまう。

仮説を立て、分析し、仮説を検証、修正しさらに分析をするめる。フレームワークはあくまでツールであることを理解し、自分なりの仮説を繰り返し、明確な結論に至るストーリーを作ることを忘れてはならない。

便利な道具はともすると考える力をスポイルする。
道具を使いこなすためにも、まずは「仮説力」を錬成したい。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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