管理可能な支出を増大せよ!

2013.10.29

経営・マネジメント

管理可能な支出を増大せよ!

野町 直弘
調達購買コンサルタント

ある企業の調達購買部門のパフォーマンスを評価する上で何らかの指標を持って評価するとしたらどのような指標が上げられるでしょうか。 多くの企業では年度予算としてコスト削減の目標を持ちそれに対して達成したか 未達だったかということで評価をしているでしょうが、達成率や、ましてやコスト削減額や率を横並びにして他社比較することはできませんし、比較したところで意味がありません。

つまり、日本でも同様ですが、例えば新たに間接材やサービス商材の集中購買を進めコスト削減の大きな効果を刈り取った後にはコスト削減額や率が低くなるのは止むを得ないということなのでしょう。

Ardent Parnersは「管理可能な支出」が増加するほど優秀な調達組織である、
と述べています。そういう点で「管理可能な支出」を最も主要な指標と捉えているのです。
彼らは調査対象企業の上位20%の企業を「ベストインクラス」企業と呼び、「管理可能な支出」比率は平均が60.6%に対して85%以上の企業を「ベストインクラス」企業と呼んでいます。
また「管理可能な支出」比率が高い企業ほど高いコスト削減率をあげていると述べています。(平均5.8%に対し「ベストインクラス」企業は6.3%)
一方で今後の方向性としては過去3年間の高いコスト削減率や額に対して目標も実績も低くなる方向であるとしています。これは市場価格が底入れしていることや、短期的で大きなコスト削減機会が既に刈り取られていることをその理由として上げています。
こういう状況下においてCPO(調達担当役員)が重視すべきなのは「管理可能な支出」を増大させることや、サプライヤとの関係性強化といった方向に向かうべきである、ということをこのレポートでは強調しています。

翻って日本企業においてはどうでしょうか?まずはこの「管理可能な支出」の比率を指標として管理している企業自体少数でしょう。やはりコスト削減額や率、
取引サプライヤの数を戦略的な指標としている企業が殆どでしょう。
また何もかも調達・購買部門が関与すべきなのか、という各論もでてくるでしょう。
2000年代中ごろからの間接材・サービス材などの集中購買化、調達部門による関与は日本企業でも当たり前のように進められました。しかし一方でコスト削減活動の「遣り尽した感」は否めなせん。この先何を目標として成熟した調達・購買部門を作っていくのか、という指針を考える上で参考になる一つの考え方だと言えます。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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