過疎の町にIT企業やクリエイティブ企業が次々に集結する理由

2013.08.19

ライフ・ソーシャル

過疎の町にIT企業やクリエイティブ企業が次々に集結する理由

「地方創生のススメ」編集部 (東京過疎化プロジェクト)
合同会社RegionWire

<地域再生・地域活性化事例>

「私たちが提供するセキュリティ事業は、クライアント企業の課題を解決するビジネスです。そして課題解決に向けて最も必要なことは、顧客が何を考えていて、何を求めているのかを想像して、そしてそれを上回るものを提供する、つまり“クリエイティビティ”です。」(吉田氏)

「一方で、ただ口で『価値創造を!』とか『クリエイティビティを養え!』などと言ったところで、そうそうたやすくクリエイティビティを身につけることは出来ません。人間はどのように働き、どのように暮らすか、つまり自分の生き方を自らデザインする時に最もクリエイティビティを発揮すると思います。そこで生活と業務をどう両立するかを考える環境として、自然に囲まれた美波町にサテライトオフィスを設けることにしました。」(同)

それを端的に表現したのが、同社が提唱する「半×半IT」というワークライフバランスの考え方だ。“×”には社員一人ひとりの趣味を充て、サーフィンを趣味とする社員は「半波半IT」、狩猟を趣味とする社員は「半猟半IT」など、個人の趣味と業務の両立を試みる。

ちなみにサーフィンを趣味とするのは住吉二郎氏。元々住吉氏は埼玉県出身で、東京のIT企業に勤務していたが、サーフィンと仕事を両立できる環境を求めていた時に同社のサテライトオフィス開設のニュースを聞きつけて応募した。

「首都圏で勤務していたころは毎日往復3時間かけて通勤していて、趣味のサーフィンは週末に行くくらいでした。それも自宅から海までは片道2,3時間かかるなど、生活の大半は移動時間と仕事と言っても過言ではありませんでした。」(住吉氏)

「しかし現在は近隣に数多くのサーフポイントがありますので、通勤にかけていた時間をそのままサーフィンに充てるなど、週に2,3回は楽しむことが出来、早朝にサーフィンしてから出社することもあります。また趣味が充実できることで、業務においても集中力が高まったり時間配分を意識したりするなど、相乗効果が出ていると思います。」(同)

また社員たちはオフィスの隣に併設された水田で稲作に励んだりするほか、地元の中学校でのIT授業や消防団活動、また地域のお祭りなど、地元の活動にも積極的に取り組むことで、次第に地元の人からも受け入れられるようになり、色々な誘いに声をかけられるようになった。

一方で地元に溶け込むと、次第に地元の人たちも腹を割って話すようになり、色々と地元の人が抱える課題や悩みを聞くことも多くなっていった。そんな声を聴くにつれて「何か自分たちが役に立てることはないだろうかと考えるようになった」と吉田氏は言う。

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