カルビーの回復、シャープの苦悩

2012.12.07

経営・マネジメント

カルビーの回復、シャープの苦悩

野町 直弘
株式会社クニエ プリンシパル

コスト削減=安かろう、悪かろうという画一的な理解。 また、コスト削減=無理なコストを押し付けると、いうような社会的なネガティブな印象は依然存在するので。無理なコストを押しつけるようなやり方は論外です。

今年の6月に私は「電子立国日本の再挑戦」というメルマガでシャープの話を取り上げました。
鴻海との資本業務提携での合意が今年の3月に行われました。
しかし、以降シャープの業績見通しでの大幅な下方修正やそれによる株価の急落により鴻海によるシャープ本体への出資交渉は凍結状態になっています。
「シャープも含め日本の家電メーカーは昭和30年代からの成功体験で保守的になったところがある。鴻海の仕事のスピード感とか、ものの考え方とかをシャープに植え付けたいと思った」「ずいぶん悩んだが、この提携は日本のデジタル家電メーカーが窮地を脱する一つの解決策だと信じている」と。これはシャープの町田相談役が日経新聞のインタビューに答えた内容です。

かつて日産自動車は90年代後半の経営危機から99年にルノーと資本提携をしカルロス・ゴーン氏の元、見事に経営再建を果たしました。日本企業を支える現場の力とドラスチックかつスピーディな意思決定が上手く融合した成果でした。調達・購買改革についても、ゴーンさんの著書の中に購買部門をより重視し権限を持たせることでコスト削減につなげた、という記述があります。

私はシャープと鴻海の提携についてもポジティブに捉えるべきだと考えていますし、結果的にシャープがこの提携を機に経営再建するであろうと考えていました。またそのためには鴻海やその主要取引先である米アップル社流の購買・調達手法を取り入れることであろうとも考えていました。
しかし現状はそのようにはなっていません。むしろ資本業務提携すら暗礁に乗り上げている状況です。まさに「シャープの苦悩」が窺えます。

一方で最近テレビや新聞等でも取り上げられており業績回復のうまくいった事例がカルビーです。

カルビーは2009年2月に社外から米ジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人社長を9年間務めた松本晃氏をCEO兼会長に招聘しました。
松本会長はその後2011年3月に東証一部上場を果たし、急速に増益を果たすなどで各方面から称賛されている経営のプロです。

日経新聞に松本会長とカルビーに関する興味深い記事がでています。
2009年6月の会長就任時に松本氏は6つの成長戦略を表明し、特に海外市場の開拓でグローバルカンパニーを目指し新たな付加価値や成長を前提とした経営をしていくことを強調しています。一方で松本氏が会長就任後、まず手掛けたことは購買部門を作ることでした。

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野町 直弘

株式会社クニエ プリンシパル

NTTデータグループのコンサルティング会社である株式会社クニエの調達購買改革コンサルタント。 調達・購買分野に特化したコンサルティングを提供している株式会社アジルアソシエイツの元代表。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルがサービス提供を行います。

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