地道なコミュニケーションがCRMの本質

2012.10.29

営業・マーケティング

地道なコミュニケーションがCRMの本質

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

お客さまとの信頼関係は、楽に手っ取り早く形成することはできません。 たとえすぐに結果が出なくても、地道に手間をかけ、お客さまとの丁寧なコミュニケーションを継続することで、揺るがぬ信頼関係とそれを土台とする安定収益が得られるのです。 これがCRMの本質でもあります。

私はいつも新しいお店に行ってみたいほうなので、最近の10年で、ずっと通っている飲食店は広尾にある1軒(以下「広尾店」)だけです。

広尾店は、高級店ではありません。そこそこ手頃な値段でおいしい料理が楽しめます。店内の雰囲気、また接客サービスも心地よく、接待にも利用しています。

ただ、そうしたことだけで、私は広尾店のリピーターになっているわけではないんですね。

結局、毎年、年に2-3回届く

「ハガキDM」

の効果なんだろうと思います。

手書きで書かれた宛名。

そして、裏面には、素朴な印象を与える印刷でその時々の季節の新メニューの案内が紹介されており、また行きたいという気持ちを高めてくれます。

広尾店は、看板も目立たなくしてあり、しかも「何屋」かわからないので、一見さんが入ることはまずありません。したがって、新規客は、既存客に連れてこられた友人知人、あるいは紹介を通じて獲得。

そして、ハガキDMが、リピート客育成の最大の武器となっています。

おそらくDMは毎回数千通出していて、宛名書きが大変だと思います。しかし、そのおかげで宣伝することもなく、固定客に支えられて安定した売上を確保しているようです。

さて、大阪府泉佐野市の老舗和食店

「割烹 松屋」

では、やはり「ハガキDM」を地道に出し続けることで、バブル経済崩壊後の落ち込みから回復し、安定した業績を維持しています。

同店では、保有している顧客6,000人分の情報を

・1年以内の来店客
・2年以内の来店客
・その他

の3つのカテゴリーに分類。

1-2年以内の来店客を中心に、毎月少なくとも1,000枚から、多いときには3,000枚のハガキを送っているとのこと。

宛名やコメントはすべて手書きなので、スタッフ全員で手分けしています。

同店の取り組みとして面白いのは、誕生日や記念日向けの特別コースの案内や、年4回の商品紹介以外のDMでは、前回の来店のお礼や時候の挨拶しか書かないこと。

なぜなら、ハガキの役割を

「お客さまとの信頼関係を築き、保つため」

と割り切っているからです。

顧客情報は来店時のアンケートから得ていますが、

・誕生日
・記念日
・好きな飲み物・食べ物
・苦手な食材(アレルギー含む)

といった情報に基づいた、お客さま一人ひとりにカスタマイズされたコメントを盛り込んでいます。

また、記念日向けなどの「特別コース」については、そのお客さまの苦手な食材を除いたものを提案するところまで踏み込んでいるそうです。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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