「魔法の杖」を求めるな

2012.10.03

経営・マネジメント

「魔法の杖」を求めるな

野町 直弘
株式会社クニエ プリンシパル

つい先日購買ネットワーク会のある集まりで購買に関するITツールの話をする機会がありました。最近公共や電力業界で取り入れられはじめている「競り下げ式入札」のツールだったのですが、、

つい先日購買ネットワーク会のある集まりで購買に関するITツールの話をする機会がありました。最近公共や電力業界で取り入れられはじめている「競り下げ式入札」のツール(オークション)だったのですが、びっくりしたのは、出席メンバーのうちオークションを使ったことがある人はほんの数人であり、また当日の話を聞いて理解が深まったという方も少なくなかったことです。その日のメンバーは中堅バイヤーで意識も高い方が中心だったので余計びっくりしました。

以前から何度も言っていますが、ITツール等のテクノロジーやその他の購買手法、(例えば購買戦略を達成するためにどのような組織体制が求められるのかというような広範囲でのテクノロジー)でも同じことが言えますが、テクノロジーはあくまでも手段であり目的ではありません。
数年前迄はどちらかというとツールやテクノロジー論が先に進みすぎた機雷がありました。しかし近年は、特にITツールに関しては高額な投資を前提としたものは淘汰され比較的安価で利用者の目的にあったツールやテクノロジーの活用が進んできました。

しかし実態としてはまだまだバイヤーのテクノロジーに対する理解や取り込む姿勢が不足していると言えるでしょう。
何故でしょうか?
これは今回話題になったITツールだけでなく、例えば組織体制論やプロセス構築などの仕組みづくりにおいても同様なのですが、多くの現場バイヤーにとって、テクノロジーやツールは「自分には関係のないこと」という認識を持っているからではないかと思われます。
もちろん大多数の現場バイヤーにとって再重要課題は、目先の担当品目の供給を切らさないこと、目下の原油価格高騰による石化製品の値上げを如何に抑制するか、今期のターゲットであるコスト削減目標を如何にクリアするか、このような目先の問題解決に興味があることは、やむを得ないでしょう。しかし、「自分には関係のないこと」という認識でよいのでしょうか?
私はそうあってはいけないと考えます。現場バイヤーにとってもテクノロジーや改革手法などは最低限自分なりの理解をしておくことが必要と考えます。
なぜならテクノロジーは使い方によっては本当に効果的だからです。
その時のためにいつでも使いたいときに使えるように準備しておく、これが重要ですし、そのための最低限の自分なりの理解は欠かせないのです。

先日ある企業の調達部門長の方と話をしました。
その方は「競り下げ入札方式」に対して自分は否定する、とはっきりおっしゃっていました。色々話を聞くとその方は、自分なりにそのテクノロジーの活用についてのメリット、デメリットを理解した上で否定していることが分かりました。その方は「競り下げ入札方式」はバイヤーの分析や思考能力を育てることにつながらないから否定する、とおっしゃっていたのです。
色々異論はあると思いますが、これはこれで筋の通った考え方です。
しかし、理解して否定するのと理解していない(もしくは理解しようとしていない)のは大きな違いです。
「知る機会がなかったので知りませんでした。」ではなく自らアンテナを高くし、「知る機会を作る」ことが求められているのです。

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野町 直弘

株式会社クニエ プリンシパル

NTTデータグループのコンサルティング会社である株式会社クニエの調達購買改革コンサルタント。 調達・購買分野に特化したコンサルティングを提供している株式会社アジルアソシエイツの元代表。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルがサービス提供を行います。

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