「モノ」にも同情するから捨てられない?

2012.10.02

営業・マーケティング

「モノ」にも同情するから捨てられない?

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

人が痛がったり悲しんでいる様子を見ると、私たちの頭の中にある「同情ニューロン」と呼ばれる神経回路が反応して、その人と同じような気持ちになります。 実は、「モノ」が壊されたりするのを見ても、やはり「同情回路」が活性化するようです。

コマーシャルで、タレントがビールジョッキを傾けてごくごくと飲み、

「プファー・・・うまい!」

とおいしそうに味わっているのを見ると、自分もビールが飲みたくなるもの。

このとき、飲んでいる本人の脳と、それを見ている私たちの脳は同じ部位が興奮しているのだそうです。つまり、他人の行動や感情の動きを見ると、あたかも自分が同じことをしているかのように脳は感じているわけです。

こうした働きをする神経細胞のことは

「ミラーニューロン」

と呼ばれています。

まるで

「鏡」

のように相手と同じ部位が反応することからこのような名称が与えられています。ミラーニューロンのおかげで、人は相手の気持ちに「共感」することができ、また、「模倣」を通じた学習が可能になっていると言われています。

さて、ミラーニューロンと同じような働きをする

「同情ニューロン」

の存在も近年確認されています。

ロンドン大学のシンガー博士らの研究によると、罪のない人が「冤罪」で罰せられているのを見ると、「島皮質(とうひしつ)」や「帯状皮質」などの、「不安」や「痛み」に関係する大脳皮質が強く反応することがわかったのです。

ここが、

「同情ニューロン」

と呼ばれる神経細胞があると考えられている部位です。

ただし、どんな状況でも、相手に同情するわけではありません。

実際に悪いことをした人が、相応の罰を受けているのを見た場合には、私たちはおそらく、

「自業自得だね」

と考えるからでしょうか、同情ニューロンの反応は弱くなります。

興味深いのは、上記の場合に、女性では同情反応が40%ほど減るだけなのに対し、男性の場合ほとんど完全に消失することです。

そして同時に男性は、快感をもたらす部位である、

「側座核」

が活性化します。つまり、男性は、悪人が罰を受けているのを見て同情をしないだけでなく、「喜び」を感じているのです。

男性は、数百万年にわたって狩りをしたり、他部族などと戦ってきました。

獲物や敵に同情を感じていては、狩りや戦いに失敗します。したがって、「同情ニューロン」の働きが弱まり、一方で「側座核」が活性化するように進化してきたのかもしれません。

余談が過ぎました・・・本題に入りましょう。

池谷裕二氏(東京大学大学院准教授)が、ある研究者から個人的に聞いた話によれば、

「同情回路」

は、人がタンスの角にぶつけて痛がっているような写真を見るときだけでなく、携帯電話やテレビがハンマーで破壊されているシーンを見るときにも活性化するのだそうです。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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