プロに求められるのはKYよりMY

2007.11.17

仕事術

プロに求められるのはKYよりMY

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

KY、すなわち「空気読め」は今どきのコミュニケーションを円滑に進めるために必須の能力といえる。しかし、ビジネスのプロ、特にマーケッターを目指すなら、求められるのはMYだ。ではMYとは一体なにか。

そんな時代にケータイでの通販を企むのは狂気の沙汰だったかもしれない、
マクロを読んでいない人たちの目からすれば。しかしMYな人、ゼイヴェル
社長大浜史太郎氏は違った。彼がその時点で見ていたのは、5年後のケータ
イの世界である。

5年も経てばケータイの画面はきっとカラーになっている。画面もおそらく
は一応、モニターと呼んで差し支えないサイズになっている。通信速度も何
十倍にも速くなっている。さまざまなプログラムが動くようになっている。
画像はくっきり鮮明、動画だって見ることができるようになっている(かも
しれない)。もし近未来のケータイがそうなると読めていたら、それでも
ケータイで通販を企むのは愚かなことといえるだろうか。

ポイントはデバイスの技術的な進化を読むだけでは不十分だという点だ。
ケータイが飛躍的な進化を遂げたとき、それが暮らしの中でどんなポジショ
ンを占めているのか。ここに思いを馳せることができるかどうか。

恐らく大浜氏はケータイが24/365/30メディア(24時間365日30センチ以
内にあるコミュニケーションツール)となることを読んでいたのだろう。で
あるなら、これこそが最強・究極の通販ツールとなる。それぐらいのMY力
を発揮されたのではないだろうか。

もちろんゼイヴェルの成功は、社長のMY力だけに依るものではない。ケー
タイ通販ナンバーワンのポジションを確立する過程では極めて戦略的に
フェーズを立てて、その時点で必要なアクションをきちんとこなしてきてい
る。これを大浜氏はディズニーランド戦略と呼んでいた。これも実に興味深
い話だったけれど、ここでは論旨からずれるのでふれない。

というぐらいにMY力を的確に使えばは大きな力を発揮する。そして、この
力はやはり意識して養わないと使えるレベルにはならない。大局観のように
世の中の出来事すべてを対象とするのではなく、ある程度自分が関心を持て
る分野に絞り込んで、その大きな流れを読んでいく。そして自分の読みを
ベースとして、さらに周辺分野への波及効果を考える。こうしたトレーニン
グが必要だと思う。

個人的にいまもっとも関心があるのは、改正建築基準法である。これが福田
首相登場とともに急に言われ出した『二百年住宅構想』とこの先、どう結び
つくのか。これはもしかしたらかなり壮大な規模で日本の産業界のありよう
をかえる動きなのかもしれない、などと思って一人わくわくしたりしてい
る。

という具合に個人的な知的お遊びとしてもMY、オススメだ。

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