政府調達改革の視点

2012.06.11

経営・マネジメント

政府調達改革の視点

野町 直弘
株式会社クニエ プリンシパル

6月1日付けの日経新聞の経済教室に興味深い記事が掲載されていました。 明治大学教授の田中秀明氏の「政府調達改革の視点」という論文です。

6月1日付けの日経新聞の経済教室に興味深い記事が掲載されていました。
明治大学教授の田中秀明氏の「政府調達改革の視点」という論文です。

田中教授はここで政府調達の問題点を5点あげています。
1.各省庁が何をどれだけいくらで購入しているかが分からない
2.予定価格の上限拘束性
3.時代遅れの会計制度に基づく契約形態や購買手法の制約
4.専門的な人材の不足
5.政府全体の司令塔の欠如
これに対して提言としては効率化の目標策定(要するにコスト削減目標を設定しなさい)ということと各省の次官に、効率的な予算執行が行われているかどうかの責任を付与しなさい(コスト最適化されているかちゃんとチェックさせなさい)ということをあげています。また中期的には会計法令の抜本的な見直しによる弾力的な契約手法、購買手法の選択や複数年による支出管理の重要性を説いています。

田中教授は元々旧大蔵省出身の方であり、実態を踏まえた素晴らしい論文だと考えます。
ここであげている問題点については、日本と英米を比較し、英米ではこういうやり方をしている、という事例を踏まえています。

一方で民間と比較して考えるとどうでしょうか?
実は政府調達も民間企業での調達も概ね上げれている問題点は共通するものであると気づかれるでしょう。

私は政府調達の専門家ではありません。ただ今までの顧客支援等の中で、田中教授がおっしゃっていることに加え政府調達には3つの問題点が追加されると考えます。
一つは「仕様の最適化」です。民間でも同様の問題がありますが、政府調達の場合は、より厳格に「仕様」を決めるのは要求元(ユーザー)である、と定義されています。また一度決めた「仕様」を変更することは難しいのが実態です。これが事務用品などの汎用品であればよいでしょう。しかし、今の時代、購入するモノの多くを占めるのは所謂無形のサービスであったり、単なる物品だけではなく、物品と様々なサービスをバンドリングしたようなモノなのです。そうすると前回のメルマガでも取り上げました通り、どのような仕様でどのようなサービスの組合せで、どこから購入するのが有利なのか、様々なケースが考えられます。つまり購入する段階で購入するモノを特定できない、ということが起こりえるのです。
民間であれば、RFI(情報提供依頼)、RFP(提案依頼)、RFQ(見積依頼)のプロセスを踏みながら最適な仕様選定を同時に進めていったり、所謂開発購買の活動のようにサプライヤや購買・製造部門が仕様決定に対して様々な提案を上げながら、安いモノが購入できるような手法をとっています。しかし、公共調達の場合はそれが難しいという違いがあります。

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野町 直弘

株式会社クニエ プリンシパル

NTTデータグループのコンサルティング会社である株式会社クニエの調達購買改革コンサルタント。 調達・購買分野に特化したコンサルティングを提供している株式会社アジルアソシエイツの元代表。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルがサービス提供を行います。

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