あるべき姿を妨げる壁を取り除く(1)

2007.11.06

経営・マネジメント

あるべき姿を妨げる壁を取り除く(1)

森川 大作
株式会社インサイト・コンサルティング 取締役

前回は、To Be思考を分別、識別、洞察の3つに分けて考えました。 これから3つの記事に渡ってTo Be思考を妨げる壁を克服する方法を説明します。 今回はその第1の壁。

メーカーA社出荷プロセスのBPRプロジェクトを例にお話します。
新プロセス(To Be)を構築しようとするのですが、考えれば考えるほど、複雑になってしまいまとまりません。
何日話し合っても堂々巡りです。数日で終わるはずだった検討会が、結局3週間もかかりました。
ラインのマネージャがプロジェクトに参加しているのですが、彼らは実は現プロセス(As Is)の構築者でした。
だから、どうしても集団防衛意識が働いて、現状を守ろう、残そうとする力が働いてしまったのです。
自分たちで構築したものを、自分たちで壊して、新しくするのは、感情的に結構タフなことです。

しかも、そこに自負、軋轢、権限といったものが見え隠れしていました。もちろん、言葉にはしませんが。
さらに、トヨタのカンバン方式やAmazonのモデルは、“正解モデル”だという思い込みがありました。
彼ら自身も本を読んでよく勉強し、そういう方法を是非取り入れたいと強く願っていました。
どうやら、担当役員の発言の中で言及されたらしく、それから逸れてはならない暗黙の空気もありました。
実際には、外のモデルを適用するという視点の持ち方の例として引き合いに出されただけでした。
でも一度そうだと思い込んだものからは、離れて別の視点で考えようとしても、どうしても引きずってしまう。

彼らは、いわば現場通、つまりベテランでしたし、自社工場の他の拠点も知り尽くしていました。
加えて、彼らは大量少品種から少量多品種JITの時流にどうしても移行し切れていませんでした。
それでチームに加わった経験の少ない若手になかなか発言の機会がありません。
ときどき、どう思う?と聞かれても、この場合はどうなる、あの場合はこうなる、と言われてしまえば、
いくら柔軟な思考の持ち主でも、いずれは思考停止に陥ってしまいます。
こういうとき、ブレークスルーを起こすのは、若手の意見であったり、部外者の意見であったりするものです。
既存の枠組みから抜け出せず、いいところまで行くのですが、堂々巡りとなってしまったわけです。

この事例からTo Be思考を妨げる壁を発見できます。
1つ目の壁は「感情」です。

思考が感情に左右されないように論理で進めましょう・・・、よくある模範解答です。
だから多くの戦略理論やリーダーシップ論では、感情と論理を対極に置いてモデル化します。
でも、人間は言い訳作りが得意ですから、感情は論理を圧倒することがあります。
感情に左右されながらも、“論理”を構築できてしまうのです。決して侮れません。
その“論理”がなかなか見破れない、これが克服すべき壁です。

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森川 大作

株式会社インサイト・コンサルティング 取締役

わたしはこれまで人と組織の変革に関わってきました。 そこにはいつも自ら変わる働きかけがあり、 異なる質への変化があり、 挑戦と躍動感と成長実感があります。 自分の心に湧き上がるもの、 それは助け合うことができたという満足感と、 実は自分が成長できたという幸福感です。 人生は、絶え間なく続く変革プロジェクト。 読者の皆様が、人、組織、そして自分の、 チェンジリーダーとして役立つ情報を発信します。

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