超円高に耐えうる調達機能とは? 調達機能移転とコマツみどり会

2011.11.09

経営・マネジメント

超円高に耐えうる調達機能とは? 調達機能移転とコマツみどり会

野町 直弘
株式会社クニエ プリンシパル

超円高、私は2011年は日本企業にとって第三の開国期になるということを年初に言いました。 またその中で調達機能に求められることは非常に厳しいものになっていくと考えていました。 はからずも東日本大震災、欧州経済危機、タイ洪水被害など日本企業の現況はたいへん厳しいものになっています。

こういう局面で企業がどういう対応をしていくのか、今回はそれを読み解くために2つの企業の事例をご紹介します。

1社目はパナソニックです。9月14日の新聞発表によるとパナソニックは『調達、物流の両本部を12年4月にもシンガポールに移す』と発表しました。
またこれにより『アジアで安価な部材調達を加速するとともに、円高に対してドルでの調達を増やす。また、世界の取引先企業を1万7000~1万8000社(10年度)から12年度までに約1万社へと約4割減らすなどの調達改革を進め、年約600億円のコスト削減を狙う。』を狙いとしています。
新聞によると『日本企業の本社機能の海外移転は異例。取引先企業の削減は、国内の下請け企業に大きな影響を及ぼす可能性が高い。』という記載でした。
グローバル調達における調達本部制の導入により海外生産分の調達に関しても集中購買を推進するという動きは多くの企業で推進されています。
しかし本社機能自体を海外に移転するというのは、やはり新しい試みです。
当然のことながら世界中で優秀なバイヤーは尊重される一方、低付加価値な業務はどんどん低コストな労働力にとって代わられることは言うまでもありません。

2社目はコマツです。ご存知な方も多いとは思いますがコマツは従来の系列制度、協力会制度を改革した取り組みである『コマツみどり会』という部品メーカーとの協力関係を築き、優先発注、資金繰り支援、もっと言えば『文化まで共有』していくことでコマツグループ全体としての競争力強化を果たすことを狙っています。『コマツみどり会は現在163社が加入しており、社数ではコマツの取引先の14%にすぎないが、調達量は8割に近い』ということです。中国にも「小松中国みどり会」を発足し日本と同様の活動をしていく方針を持っています。そのやり方は『従来型のケイレツとは大きく異なる。「理由のない値下げ要請はしない」「注文キャンセルは禁止」。目指すは「農耕民族型」の部品調達だ。』とのことです。
コマツはこのような活動を元にサプライヤーとともに先を見据えた関係を築くことで、円高下の競争を勝ち抜く考えなのです。

どちらのやり方が正しいか、それは現段階では何とも言えません。
ただ両社ともに現在の経済環境下でやらなければならない改革を先んじて進めているのです。コマツにいたっては1960年代からこの活動を進めています。
一見全く違った方向に向かっているように見えますが、両社とも強固なサプライチェーンとコスト競争力の強化を目的にしたものなのです。
非常に興味深いですね。

<<両社に関する記事出典>>
パナソニック:調達、物流の両本部シンガポールに移転へ
2011年9月14日付毎日新聞より
コマツ:中国で部品会社育成
2011年10月21日付 日経新聞より

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野町 直弘

株式会社クニエ プリンシパル

NTTデータグループのコンサルティング会社である株式会社クニエの調達購買改革コンサルタント。 調達・購買分野に特化したコンサルティングを提供している株式会社アジルアソシエイツの元代表。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルがサービス提供を行います。

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