典型的な“人事マン”に、新卒採用を担当させてはいけない理由

2011.10.24

組織・人材

典型的な“人事マン”に、新卒採用を担当させてはいけない理由

川口 雅裕
NPO法人・老いの工学研究所 理事長 /一般社団法人「人と組織の活性化研究会」理事

典型的な“人事マン”の行動原理と、新卒採用を成功させるために必要な行動原理の違いについて。

多くの企業では、採用という仕事は、人事が担当するということにだいだい決まっている。そして、採用数が予定に満たない、採用した人がイメージと違う、ミスマッチだという状況が特に近年続いている。このようになる原因は、ほとんどの場合、学生のレベルが下がったこと、大企業志向・安定志向、活動量の少なさといった学生側の問題にされがちだが、私は人事の側にも大いに問題ありと考える。それは、典型的な“人事マン”が持つ行動原理が、“採用”という仕事には通用しないということだ。三点、挙げてみたい。

一つは、典型的な“人事マン”は、いつもリスクに焦点を当てることだ。法や規則に則り、間違いのない組織運営・人事管理を行うことには長けているが、目標を達成するためにどうすれば良いかといった思考は不得手であるし、何としてでも達成しようといった意欲も希薄である。

採用活動は、ターゲットとなる人を多く集客し、その関心をひきつけ、説得し成約しフォローしていくという点で営業活動と同じである。ところが“人事マン”は、例えば採用広告においても、大げさな表現は「誤解を招いてはいけない」、思い切って訴求するポイントを絞った内容は「他のポイントをはずして失敗したらマズイ」と安全運転をするので、結局、当たり障りのないごく普通の広告を作ってしまう。

二つ目は、効率を重視することだ。昨シーズンはどうしたか、これまでどうやってきたか、他社はどうしているかを調べ、それを踏襲することで素早く着手し、効率的に進めるといった仕事の仕方には長けているが、独自性のある方法や差別化された打ち出し方を考えようとはしない。

会社説明会にしても、選考にしても、典型的な“人事マン”は、毎年同じような内容を繰り返しているし、例えばグループワークが流行っていると聞くと、我も我もとそれを導入し始める。確かに、同じようなことや真似事をやれば効率はよいのだが、効率が、そもそもの目的である採用の数や質に優先してしまっていては、採用目標を達成できるはずなどない。

三つ目は、一度決めたことを容易には変更しないことである。会社のルールに対して従業員から異論や疑問が出ても、大義名分やデータや経営者の意向を持ち出して押し通してしまうような対応は得意であるが、間違いや思い違いを反省したり、多くの声を素直に受け入れたりして、決めたことを柔軟に変更するのは苦手なのだ。採用活動は営業活動と酷似しており、目標に届きそうもないとなれば、途中の地点で素早く、柔軟に作戦を変更しなければならない。

ところが、当初に決めた広告、説明会、選考、面接のやり方、スケジュールなど、状況が相当厳しいのに悠々としており、作戦変更など考えもしない。最後に「来た学生のレベルが低かった」という理由をつければよいと計算しているからだが、上記の二点も含め、このような行動原理を持つ典型的な“人事マン”に新卒採用を任せておいては、採用目標など達成できるはずがないのは当然である。

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川口 雅裕

NPO法人・老いの工学研究所 理事長 /一般社団法人「人と組織の活性化研究会」理事

組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革・健康経営など)や、高齢者・高齢社会をテーマとした講演を行っています。

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