“マイ・ストーリー”の達人になろう

2011.10.17

ライフ・ソーシャル

“マイ・ストーリー”の達人になろう

ITmedia ビジネスオンライン
“ニュースを考える、ビジネスモデルを知る” ITmedia 編集部

自己紹介として、ブログや本などで書かれる“マイ・ストーリー”。筆者はマイ・ストーリーで嘘をつくことは望ましくないが、もし自分をよく見せるために書くとすればこうすべきだというアドバイスを送る。 [吉田典史,Business Media 誠]

2種類のマイ・ストーリー


 それらを読むと、次の2種類があることに気がついた。

1.内容は一見、事実に見えるが、実はその事実そのものをねつ造している

2.内容は事実であるが、その事実の意味合いなどを都合のいいようにねじ曲げている

 1は先に説明した通りだが、2は例えば次のようなものだ。私の知人のものである。

 「親の収入が少ないから、高校を辞めた。そして工事の現場で働く。バイクのレーサーになり、金を得ようとしたが、腰を痛め、あきらめる。俳優になろうと劇団に入るが、断念。20代後半に、コールセンターに『高卒』と学歴詐称をして入る。上司とぶつかり、辞めるが、新たなコールセンターで働く。いつの日か独立をし、会社を経営したいが、44歳で生まれた子を路頭に迷わせたくないため、会社に残る」

 これらは、事実である。さらに彼は、このストーリーを表に出してビジネスをしようとはしない。だから、「詐欺まがい」とは言えない。

 だが、事実の解釈をねじまげているように思える。例えば、「親の収入が少ないから高校を辞めた」とあるが、事実は「非行に走っていて勉強をしていないため、進級できなかった。だから、辞めた」のである。高校を辞めた、という事実は素直に書いているが、そのとらえ方には疑問が残るところだ。

 それでも、私は好感を持つ。1は、つまり、女性経営者のものは事実そのものをねつ造しているが、この男性のストーリーは一応は事実である。

 私は1と2のどちらにも積極的には賛成しないが、人が生きていくためには、これらを使わざるを得ない状況になる時があると思う。苦しいことに直面し、自分を納得させることが必要になる時は、誰しもあるだろう。その際は、次の戦略を取ることを勧めたい。

 20代後半までは1の路線。30歳前後から1と2の折衷。30代半ばから2の路線にシフト。40歳で2の路線。40代後半~定年までは2の路線にしがみつく。

 20代後半までは1、つまり独りよがりなサクセス・ストーリーでいい。例えば、1年ほど前に、20代後半の男性編集者と知り合った。彼はこう言った。「自分は●(テレビ局の社名)で記者をしてきた。1年、警察担当の取材、その前に1年、県政の取材をした。これでひと通り学んだ」

 私は2年の経験しかないのに「ひと通り学んだ」と言い切るその思いが分からなかった。

2年というのは事実であるが、「ひと通り学んだ」というのは嘘に見えた。だが、本人は強気だ。わずか2年の「元●記者」の“実績”をもとに、その後は名門出版社に転職し、編集者をしている。

次のページマイ・ストーリーを使い分けてイメージチェンジ

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