2割の働き者側に回るか? 8割のテキトー者側に回るか?!

2011.10.11

仕事術

2割の働き者側に回るか? 8割のテキトー者側に回るか?!

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

「人生の幸福は“鈍感さ”で決まる。この世は鋭い人間ほど不幸を味わうように出来ている。だから幸せになりたかったら、ゆめゆめ鋭い人間にならないことだ」と悪神は耳元でささやく……

  *** 悪神のささやき〈その2〉***

  「ほぅ、程々の生き方じゃ駄目だってことかい。
  しかし、“もっともっと”っていうお盛んな欲をもった人間が
  成果を一人占めしようとして、
  世の中の差別と蔑みを生んでるんじゃないのかい。
  いったいぜんたい、おまえさんは
  『2:8』の「2」の人間が、富の8割を押さえている世の中をどう思う?
  我々はいまこそ古人の言葉に耳を傾けるときではないのかね。
  ───“足るを知れ”と」。

  *****

 正義を行いたいとする欲望は、いつしか独善を強いる欲望へと変わるときがある。愛したいという気持ちは、知らぬ間に憎んでやるという気持ちへ変じる可能性がある。「お金をもっと稼ぎたい」という欲求が健全に仕事と生活を進める場合もあれば、それで身を持ち崩す場合もある。
 自分に湧いてくる欲望に「善」「悪」のラベルが付いているわけではない。また、どこまでが「OK」で、どこを超えると「OKでない」かの線引きがあるわけでもない。
 だから、人間の欲望は促進すべきなのか、それとも抑制すべきなのか、これは簡単に答えを出せる問題ではない。欲望には、「陽の面」と「陰の面」があって、人間を育てもするし、惑わしもする。社会を進歩させもするし、混乱させもするのだ。

 大事なことは、欲望の底にある心持ちがどうであるかだ。もし、その欲望が、自分だけに閉じた(つまり小我的)感情で、他と不調和的な心持ちから起こっているなら、「陰の面」が出てしまうだろう。こんなときは、他人をかえりみず「欲を貪(むさぼ)る」、もっと成長できるにもかかわらず「欲を怠(おこた)る」という状態が起こる。
 逆に、その欲望が、社会に開いた(つまり大我的)意志で、他と調和的な心持ち から起こっているなら、「陽の面」が出るだろう。そのときは、健全に「欲を制する」、自分の可能性を縦横無尽に伸ばせるよう「欲を開く」という状態になる。

 ここでの悪神のささやきにはトリックがある。悪神は「足るを知る」という玉条をもって、欲をすべて一絡げにして“程々にせよ”と耳打ちする。富の偏りをあげて、欲の強さを一緒くたに金欲に結びつける。
 私たちが自身に求めるべきは、欲を押し並べて“程々”にすることではない。その欲を自己以外に開いていくことだ。そうすれば自然と大きな智慧が湧いてきて、貪欲でいいときと、抑制すべきときの見境がきっちりできるようになる。賢く強く生きるために、私たちは己の欲望の主人になることだ。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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