ある購買課長の挑戦(中編)

2011.10.03

経営・マネジメント

ある購買課長の挑戦(中編)

野町 直弘
調達購買コンサルタント

「当社はこのプロジェクトXでリードタイムが15日から8日に短縮され約50%削減できました。在庫は20%以上削減できました。結果的に保管庫のスペースも10%削減でき、トータルでXX億円の定量的な効果を出すことができました。」

プロジェクトXには他にも画期的なポイントが多くあります。
その一つとして次に上げられるのが、「双方向の取組みとそれを上手く動かす三方よしの方法論」です。
先ほど記述しました豊川自動車の生産室の生産改善活動もやはり現場に入り込んだ改革の取組みです。しかしこの取組みは買い手企業(親企業)が売り手企業(グループ企業)を指導するという一方通行の取組みです。
この取組みの多くは長続きしません。何故なら、売り手と買い手の理論は本来トレードオフだからです。買い手企業は改革成果をより多く還元することを求めますし、売り手企業には段々とやらされ感が溜まってきます。
これを防ぐのが双方向の取組みです。売り手企業だけでなく、買い手企業も同じ土俵で現場改善を進める。この双方向の活動は相互の企業努力によって競争力強化を成し遂げようという合意を生み出します。
だから継続的かつ大きな成果を出していく取組みとなり得るのです。
つまり「双方向」の取組みは継続的な改善活動には欠かせないのです。
「三方よしの方法論」とは商取引においては、当事者の売り手と買い手だけでなく、その取引が社会全体の幸福につながるものでなければならないという意味での、売り手よし、買い手よし、世間よしという理念であり、元々は近江商人の経営理念に由来しています。プロジェクトXでの三方とは「売り手」「買い手」それから「コンサルタント」です。
「売り手」「買い手」だけでなく、その両社に第三者的な立場で支援、評価、教育を請け負う立場の外部「コンサルタント」を相対させる。
このコンサルタントの立ち位置が先の双方向の取組みを円滑化するものにつながっていたのです。

このプロジェクトXが如何に他にはない画期的な取組みであったのか

今回は3つのポイントについて説明しました。
次号では残りの2点についてご説明したいと思います。

=次回へ続く=http://www.insightnow.jp/article/6822

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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