青い海を探せ!小さな塾の戦い方

2011.09.16

ライフ・ソーシャル

青い海を探せ!小さな塾の戦い方

今野 篤
株式会社経営教育研究所 代表取締役

多くの業界で市場の寡占化や商品のコモディティ化が進み、競争が激化している。そこでは価格や機能などで血みどろの競争が繰り広げられている。しかし一方で、競争がない独自の市場を創り出し、独り勝ちしている企業もある。

 任天堂Wiiはその独自性を持って新たな市場を切り開いた。それは血みどろの戦いを続ける赤い海と対象的な青い海。既存の市場競争を持たないブルー・オーシャン戦略。果たして学習塾にその様な市場を発見することができるのだろうか。

 学習塾は2度の躍進があった。1回目は、昭和40年代の受験戦争期における学習塾(集団指導)の導入期である。そして2回目は、平成に入ってから少子化を背景に個別指導が台頭した成長期である。導入期では学習塾(集団指導)が学校に対して、成長期では個別指導が集団指導に対してブルー・オーシャンを持って現在の市場を形成した。

 今日の個別指導が学習塾市場に占める割合は、4割以上まで達している(全国私塾情報センター発刊『学習塾白書』より)。この個別指導の誕生は今から30年も前に遡る。受験戦争とも言われていた当時、塾はと言えば集団指導の進学塾を指した。子供たちはより高いレベルの学校に行くために、よりレベルの高いクラス、よりレベルの高い塾に殺到した。

しかし、その様な状況化についていけない子供も多くおり、その受け皿となったのが補習型の個別指導である。現在2,000教室以上を展開する明光義塾が、そのパイオニアのひとつであろう。個別指導は集団指導と比べて対象となる生徒も違えば、そのビシネスモデルも全く違った。

 例えば、高校受験にかかる年間費用は、一般的に個別指導は集団指導の約2倍かかる。合格実績においては、「上位校の合格実績」が経営上のKFS (*)になる集団指導に対して、個別指導は「生徒の志望する学校に合格させる 」ことが目標となる。講師の基準は全く違い、集団指導が正社員を主流とする一方、個別指導はほとんど大学生のアルバイトを雇用する。カリキュラムにおいては、集団指導がいくつかのレベルでのクラス分けしかできないのに対して、個別指導では理論上、講師の力量次第でどんなレベルの生徒にも対応ができる。この点に関しては、家庭教師と同じである。

 改めて考えてみると、個別指導と集団指導のビジネスモデルがはっきり違うことがわかった。このように視点をざっくりと変えることで、個別指導は塾市場に新たな青い海を創出した。しかし、その個別指導も今では競争の激化にさらされている。これは個別指導への参入が比較的容易であり、参入障壁を築きづらいことが原因のひとつである。今後どちらのタイプにせよ新たな海路を切り開かなければ、レッド・オーシャンに身を沈めることになる。特に小さな塾は大手と同じような模倣戦略を取れば、瞬く間に大手に飲み込まれるか潰されてしまう。

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今野 篤

株式会社経営教育研究所 代表取締役

教育ビジネスのアナリスト/コンサルタント。専門はフランチャイズ(FC)とデジタル関連。個別指導FCやベンチャーなどの教育機関を経て、2009年に民間教育シンクタンク経営教育研究所を設立。教育と異業種を結ぶエデュイノベーションLLPパートナー。

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