ニーズを聴け!枠を壊せ!:縮む市場での生き残り術

2011.07.22

営業・マーケティング

ニーズを聴け!枠を壊せ!:縮む市場での生き残り術

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 7月20日付・日経MJに目を惹く2つの記事が掲載されていた。そこから何が学べるだろうか。

 1つはコンビニエンスストアでのクリーニング取り次ぎサービスに関する小さな記事だ。「水洗いクリーニング コンビニで受け付け CVSベイエリア」とタイトルにある。千葉県と東京都で「サンクス」のFCを展開する同社が7月から東京都中央区の4店舗で試験的に始めたサービスである。Tシャツなら30枚入る専用バッグにTシャツやズボン、靴下などを詰めて持ち込むと1回1,500円で水洗いして3日後に返却されるしくみだ。働く女性や洗濯する余裕のない会社員らの利用を見込むとある。

クリーニング市場は総務省の家計調査からの推計値で、1992年のピーク約8,200億円から2009年に4,300億円まで減っているという。クリーニングの事業者も減少し、クリーニング事業者向け業務用洗濯機から三菱重工機器が09年に撤退するなどの動きもあった。
 不景気による生活防衛、節約志向から消費者は家庭での洗濯を強化した。クリーニングの代替として男性用の形態安定シャツや高性能アイロン、衣類にやさしい斜めドラムの洗濯機が普及し、臭いを防止しよい香りをつける柔軟仕上げ剤の発売も相次いでいる。
 クリーニング事業者はまさに存亡の危機に立たされているわけだが、取り次ぎ業務を行うコンビニにとってもあてが外れた格好になっていた。「Convenient=便利な」の意味通り消費者のかゆいところに手が届くサービスを提供して来店頻度を増やすのが目的で、都市部で行っていたクリーニングの取り次ぎサービスも利用者が減っては意味がない。

 CVSベイエリア社が目をつけたのが、「水洗いクリーニング」である。もともとは米国でコインランドリーの付帯サービスとして発祥したといわれているが、日本では「デリウォッシュ( http://www.deli-wash.jp/ )」などが展開し、利用が広まっている。
 コンビニの主要顧客でもある、「働く女性や洗濯する余裕のない会社員」というターゲットは「家庭での洗濯を強化」という世の中の動きとは異なる。その時間と手間をかける余裕がないのだ。故に、クリーニングできちんとプレスしたシャツを提供されるだけでは不十分であり、「普通なら自分で洗濯するような衣類も人に洗って、干して、たたんで欲しい」というニーズを潜在的に持っているのだ。
 従来のクリーニングでは解消されない未充足ニーズを発見し、そのニーズに応えるサービス提供者と結びつけることで利便性を提供し、コンビニもまたオーバーストア、過当競争のなかで生き残りを図っているのである。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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