理美容業界の稼ぎ上手・キュービーネットの新展開に注目!

2011.07.01

営業・マーケティング

理美容業界の稼ぎ上手・キュービーネットの新展開に注目!

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 「10分間1000円」の低価格カット専門店「QBハウス」を展開するキュービーハウスが新業態の展開を開始した。その巧妙な収益化戦略に注目してみよう。

 新型店「FaSS」がカットのみ1000円でないのは、「サービスを拡充して料金の範囲を広げる」ためだと記事にはある。しかし、もう少し考えてみると狙いはもっと深いはずだ。
 スタイリングのみの価格は1575円だという。カット・スタイリングで2100円から考えればすこし割高に感じるかもしれない。だが、自分でやるのではなく、わざわざスタイリングをしてもらいに来るのはどんな時だろうか。デート前の顔剃りではないが、何らか気合いが入っている時に違いない。そんな時、1500円は高いと感じないだろう。一方、サービスを定期要する側としては、洗髪なしのスタイリングなので、およそ10分程度で終わるだろう。故に、スタイリングのみのサービスは利益率が高いことになる。
 前髪カットは735円。7分間という細かい時間刻みでサービスを提供しようというわけではないだろう。本来10分1000円というところを、利用しやすい価格設定にして顧客の来店頻度を高め、囲い込みをする狙いで設定している価格だと考えられる。

 「FaSS」の2100円という価格は、美容サロン大手TAYAの展開する低価格ファミリーサロンの「Shampoo」などと競合する。同店にはヘアセットを顧客自身が行う「セルフブロー」で1900円のコースもある。そうした競合環境下で、目標は「5年内に50店目指す」と記事のサブタイトルにもある。「Fass」の店内には「QBハウス」でおなじみの釣り銭が出ない1000円のカット券販売機がないという。その理由は「料金設定を柔軟とし、新規メニューを増やしやすくする」ためだという。また、「ショッピングセンター内に出店する場合にも全館共通の割引キャンペーンなどに参加しやすくする」という狙いもあるという。

 自社の提供するサービスを要素分解し、業界相場である「10分1000円」をカットのみに集約させて成長した「QBハウス」。そして、サービスを拡大し、顧客ニーズに柔軟に対応させて収益化を図るモデルを多様化させたのが「FaSS」だ。そのプライシングの柔軟性は競合環境にも対応できるように設計されているはずだ。今後、どのようなメニューを展開し、どのようにプライシングしていくのかも注目のポイントである。
 

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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