本気出した西友は消費者の味方になれるか?

2011.06.17

営業・マーケティング

本気出した西友は消費者の味方になれるか?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 日本のスーパーマーケットの販売スタイルが変わるかもしれない。その先鞭をつけているのが「西友」だ。世界最大の売上高を誇る「ウォルマート」の資本傘下としての優位性を活かした展開で攻勢をかけることが予想されるのだ。

 「EDLP」を既に実践している企業は日本にも存在する。例えば、東京都大田区仲六郷に本社を置き、関東と東北に店舗を展開する中堅ディスカウントスーパーマーケット (DS)、「オーケー(OK)」だ。1958年創業の同社は、ウォルマートを徹底的に研究して1986年以降EDLPを実践している。同社は<原則として各商品につき1メーカーに絞り品目数を減らして1品目を大量に仕入れることで仕入れ価格を抑えている。チラシなどに基づき、近隣の競合店(スーパー、ドラッグストア等)が特売などによりオーケーの販売価格を下回った場合にはそれ以下の価格まで下げる「対抗値下げ」を行いPOP広告を掲示して対応している>(Wikipediaの記述)という。そうして同社は激戦区である国道16号線商戦を生き抜いているのである。

■本気出した西友

 NEWSポストセブンの記事では、チラシを減らして特売をなくした結果<「震災後のスーパーの利益率は軒並み上がっている」>と前出の河岸氏は指摘する。しかし、チラシと目玉商品削減により利益率アップをスーパー各社が享受しているうちに、大本命が動き出した。西友だ。
 <西友が1000品目値下げ…16日から>(6月14日読売新聞・@niftyニュース)
 http://news.nifty.com/cs/economy/economyalldetail/yomiuri-20110614-00869/1.htm

 記事によれば<食品や日用雑貨など計1000品目の価格を16日から順次、平均10%値下げすると発表した>という。

 セゾングループの中核企業であった西友が、バブル経済崩壊後の経営失敗の影響から抜け出せずにウォルマートの資本参加を受け入れたのは2002年のこと。以降、あれよあれよという間に資本比率は高まり、2008年についに完全子会社化され上場廃止に至ったのは記憶に新しい。西友には資本だけでなく「EDLP」の手法も注入された。
 EDLPは日本の消費者にはあまりなじみがない。そこで、同社はEDLPをわかりやすくするために「KY(カカクヤスク)」と言い換えてテレビCMでも継続的に訴求している。しかし、バリューチェーンで考えれば、調達→物流→在庫→販売促進→販売という「販売促進」がチラシからテレビCMに変わっただけで、本当に価格を安くする原資の確保にはなっていない。西友の値下げ原資はどこから出てくるのか。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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