任天堂の「Wii U」は血みどろの戦いを覚悟したのか?

2011.06.10

営業・マーケティング

任天堂の「Wii U」は血みどろの戦いを覚悟したのか?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 任天堂からWiiの後継機が発表された。「Wii U(ウィー・ユー)」。しかし、発売直後に同社株価が<「斬新さは乏しい」(国内証券会社)として見直し買いを入れる投資家は限られた(日本経済新聞)>ことによって年初来安値を記録することになるなど波乱含みの船出となった。

 後継機「Wii U」と2006年に発売された現行の「Wii」の違いは、その姿を見ればすぐにわかる。
 <任天堂ホームページ内関連記事>
 http://www.nintendo.co.jp/n10/e3_2011/02/index.html

 コントローラーの形状が決定的に違う。大きな携帯型ゲーム機かタブレットPCを思わせる6.2インチのタッチパネルが鎮座しているのだ。7日、米ロサンゼルスで開幕した世界最大級のゲーム見本市「E3」での発表において、<(任天堂の)岩田聡社長は7日の発表会で、「初代のWiiよりも幅広い層にアピールできる」と述べた(YOMIURI ON-LINE)>という。例えば、<ゴルフゲームでは、テレビ画面にグリーンやカップ、床に置いたコントローラーにはボールが映し出される。Wiiのリモコンを握ってスイングすれば、コントローラーのボールがテレビ画面を飛んでいく仕組みで、実際のプレーにより近い感覚を体験できる(同)>という。

 今日の任天堂があるのは、失敗の上に立って「立ち止まって俯瞰してみたこと」である。
1960年にセオドア・レビット教授がハーバード・ビジネスレビューで発表した論文にある「マーケティング近視眼」に陥らなかったことだ。米国の鉄道事業は自らを輸送産業と定義せずに、鉄道会社同士の競争にあけくれた結果、自動車産業や航空産業に破れ衰退した。そうした近視眼的な経営を「マーケティング・マイオピア(近視眼)」と呼んだのである。
 任天堂も近視眼に陥って痛い思いを二度も続けてした。スーパーファミコンと、NINTENDO64である。ハードウェアは独自の高度な規格にこだわり、ソフトも高度な開発ができるサードパーティーを厳選し、子供のおもちゃ的なゲーム機のイメージ脱却を狙ったが、プレイステーション、プレイステーション2に破れることとなった。また、次世代のニンテンドーゲームキューブもプレイステーション2に一矢報いることはできなかった。
 そこで、任天堂は「ブルーオーシャン」を見つけることにしたのだ。ブルーオーシャン戦略は戦わない。新たな市場を創り出す。「コアなターゲット」などのような、特定のセグメントを狙わない。新たな市場において、今までターゲットになっていなかった層を丸ごと取り込む。そして、新たな価値を訴求して、今まで持っていた付加価値からいらないものをどんどん捨てていく。任天堂は「ニンテンドーDS」と「Wii」でゲーム機市場で戦わないことを選択した。誰もが楽しめる、学べる、運動できる道具を提供する事業というブルーオーシャンを目指したのだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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