ジーンズの「ボブソン」はいかに再生すべきか?

2011.05.19

経営・マネジメント

ジーンズの「ボブソン」はいかに再生すべきか?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 ジーンズメーカーのボブソンが5月2日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、6日に手続きが始まった。百貨店などの既存の取引先は打ち切られておらず、営業は継続できるとのことであるが、この後は債権者が納得できる再建に向けた戦略を描くかだ。

 5月18日付日本経済新聞で、上記ボブソンの民事再生法適用申請をからめて、ジーンズ市場縮小の理由をコラム「消費のなぜ」で解説している。タイトルは「振るわぬジーンズ “1000円”乱立の後遺症で苦戦」「値頃感変化 “楽な着心地”流行も逆風」とあり、都内の専門店の写真に「従来のジーンズがチノパンなどに押されている」と説明が加えられている。
 2009年にファーストリテイリング傘下・ジーユーが990円ジーンズを発売したことを皮切りとして、西友やイオン、ドン・キホーテなどの流通がPB(プライベートブランド)の安価品を相次いで発売し、1000円を切る商品が乱立。「ジーンズデフレ」とでもいえる様相を呈した。記事では「消費者が適切価格を見失い、さらに従来の7〜8千円という価格に対しても不信感を抱くようになった」ということがジーンズ不振の一因であると指摘している。また、代替品の存在も大きいという主旨も開設されている。男性はビジネスカジュアル対応可能なチノパンツ、若年男性は楽なカーゴパンツにジーンズの着用機会を奪われた。女性の場合はレギンススタイルがジーンズスタイルを代替したのである。
それらに対抗し、新たなブームを創造するため、ジーンズメーカー各社は体型補正などの機能をうたう商品を投入しはじめたとある。ストレッチ素材の採用や立体裁断・縫製を施し細かなサイズ対応を展開した商品のことであろう。

 同日の日経MJにはボブソンの代表取締役であり、投資会社のターンアラウンドマネジメントの社長である早瀬恵三氏のインタビュー記事が掲載されている。復活策の中心は「直営店を2倍(6店を12店)にし、売上に占める比率を2割から4割にすること」であり、出店の初期投資も極小化できる見込みだという。また、市場観については、日経記事指摘の「ジーンズ市場縮小」に関して「アパレル全般に比べれば状況は良い」とコメントしている。さらに、「デニム素材のジーンズにこだわらず、パンツ全体で見れば、メーカー数はトップス(上着)に比べれば少ない」と、業界内の競合状況が意外と激戦でない様子を明かしている。そして、インタビューの締めくくりとして、「総合パンツメーカーとして生き残る道はある」とも語っている。

 マクロ環境で考えれば、経済がデフレ化し、様々な市場で価格破壊が起きた。社会的には、「ファストファッションブーム」が起きて、「安いこと」は消費者の重要なKBF(Key Buying Factor=購入主要因)となり、安いがゆえに様々なスタイルを試す機会を創出した。技術的には、「安いけど高品質(ユニクロ)」や「安いけどオシャレ(外資系ファストファッション)」と従来のバリューラインを上回るポジションを獲得できる生産技術が登場した。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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