ゼクシイの樹木希林、内田裕也CMに見るコミュニケーションセンス

2011.05.16

ライフ・ソーシャル

ゼクシイの樹木希林、内田裕也CMに見るコミュニケーションセンス

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント

しゃらくさいCM作らせたら右に出るもののいなかったリクルート・ゼクシイのCM。何と最新版は樹木希林・内田裕也夫妻です。 と思ったら大事件発生。事件発生後の樹木希林さんの会見を見、何としっかりしたメッセージを出せる人なんだろうと感心しました。

私は樹木希林さんという方を、女優というか男女を超えた日本最高の俳優さんの一人だと思っていますが、世間的には破綻夫婦と言われているこのお二人です。一見、若い頃トンガってた二人が齢を重ね愛を育む、そんな夫婦っていいものですねぇ。という虫唾の走るメッセージなのかなと思ってたところ、実際放映されたタイミングを測ったかのような内田裕也の脅迫事件。さらに事件について記者会見した樹木希林さんがまたシビれるコメントを出しました。「(私は)本当に申し訳なく思っておりますが、本当の謝罪は本人からさせます。(当人は)70歳を過ぎていますので、私は頭は下げないでおきます」とのことです。

本当にカッコ良いッすね。芸能人の不祥事といえば家族が本人に代わって「世間に対してすまない」と謝罪するのが決まり。しかしこの樹木希林さんこそ、そうした「世間」等には一切媚びない、本当のロケンロールな生き方を実践できているのでしょう。結婚直後から暴力を振るわれていたという樹木希林さんですが、それでも夫婦二人でこのことも受け止めるそうです。
もう他人は何も言えませんわ。こうした硬派な対応は、俳優・樹木希林の価値に何一つ傷を付けないでしょう。堂々とした態度を貫くことで、ますます俳優のイメージとの一致が強まり、結果として今回の事件で、どうみても樹木希林さんご本人への仕事依頼は減らないと思います。そんな世間体やら常識を具現する演技を期待されている訳がないのですから。

地震対応後も続く菅首相の思いつき、ブレブレの指示や方針の信頼感の無さに比べ、誠に信頼に足る存在感を示してくれたと思います。自分の立ち位置をしっかり理解され、そしてそのラインに沿ったメッセージを発信し、それを伝えるだけのコミュニケーション能力があるから、こうした信頼感は作れたのだと思います。
誰にも良い顔をしよう、とにかく批判を避けようという自己保身しか感じられない菅首相の真逆だと思います。
「みんなから支持される」は、結局「誰からも支持されない」ことなのです。しっかりと自身のポジショニングを定め、そこを支持する人、ファンであったり選挙民であったり、顧客をセグメントして行く。

優れた役者さんというものは、そんなことが結果として出来ている方なのでしょう。ちなみに私はゼクシイのCMについては今回の事件含め、評価しています。既婚者の方ならけっこう同意いただけると思うのですが、結婚は絶対に「ゴール」ではありません。人生におけるゴールは死でしょう。死ぬ寸前まで、人生に終わりも頂上も無いのです。結婚さえ出来れば何でもオッケー、誰でもハッピーみたいな軽薄なトーンが大嫌いだったゼクシイのCMが、今回の起用&事件で劇的にリアルになったという意味で、非常にスバラシイものになったと思います。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

フォロー フォローして増沢 隆太の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。