スタバ対抗!キーコーヒーは勝てるのか?

2011.05.06

営業・マーケティング

スタバ対抗!キーコーヒーは勝てるのか?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 キーコーヒーが個人経営喫茶店を、コーヒーチェーン店に対抗できるような店舗とする支援を開始するという。その背景と勝負の行方を考えてみよう。

 それでも、「本格的なコーヒーを飲みたい」「ゆったりと過ごしたい」というニーズを持った顧客(Customer)の存在で個人経営喫茶店は生き長らえていた。そこにとどめを刺したのが、スタバなどのシアトル系だ。市場を席巻しつつある低価格カフェを競合(Competitor)と考えれば、その特徴は価格が安いものの座席は狭く、長時間ゆったりするのではなく、主に喫煙者や男性向けの短時間の休憩場所という性格いといえる。またメニューもブレンドコーヒーと1~2種類の果汁ジュース程度に限られていた。それに対して自社(Company)のスタバは、最高級コーヒー豆の使用と豊富なメニューとコーヒーのバリエーション、高級ソファーや絵画などのオシャレな店内に加え、徹底した店員教育によるホスピタリティーを実現した。価格もセルフサービスの低価格カフェと、個人経営喫茶店の中間である300円~500円台として、旧来のカフェと喫茶店に不満を持つ非喫煙者や女性、若年層を中心に取り込んだのである。KSFは中間価格帯で高い品質の商品(コーヒー・店内空間・接客)を提供する「高価値戦略」の実現である。

 では、キーコーヒーが展開する「キーズカフェ」はスタバに対抗できるのだろうか。

 価格は(Price)はどうだろうか。「割安な大手チェーンに価格ではなく品質で勝負する」と、記事には同社のコメントが掲載されている。あくまで卸→販売という商流のため、中間マージンが発生するのでコスト勝負はできず、低価格カフェと競合するつもりはなく、あくまでシアトル系のスタバ、タリーズとの勝負である。そして、それらに対して高価格だが品質の高い「プレミアム戦略」を仕掛けるつもりであろう。
 では、プレミアム戦略の要である商品(Product)としてのコーヒーの品質、メニュー、店員のサービスはどうだろうか。記事によれば、コーヒーの品質は「全国に70あるキーコーヒーの営業所の従業員が各店舗を廻り、コーヒーの焙煎方法などを指導する」とある。メニューは「コーヒー飲料のほか、デザートやサンドイッチなどフードメニューも含め、約50品目を扱う」とある。さらに店員教育は「子会社の外食産業であるイタリアントマトが持つパート従業員教育のノウハウも提供していく」とある。キーコーヒーグループ総がかりの構えだ。
 販売拠点(Place)はどうか。「標準の売り場面積は30~50平方メートル」「最小は15平方メートル」で、「従来、個人事業主が開店できなかった駅ナカやサービスエリアなどに出せる」と同社のコメントがある。スタバも駅ナカやサービスエリアには出店済みだ。
 プロモーション(Promotion)はどうか。スタバは広告をしないポリシーで有名だ。その代わり、徹底して同社のロゴを前面に押し出して刷り込みを図る。そのブランドとしての蓄積は大きく、「キーズカフェ」の認知を高めるにはそれなりの時間がかかるだろう。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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