「震災を乗り越えて」-現場バイヤーは震災にどう対応したか-

2011.04.19

経営・マネジメント

「震災を乗り越えて」-現場バイヤーは震災にどう対応したか-

野町 直弘
株式会社クニエ プリンシパル

先日震災に対して現場バイヤーがどのような対応をしたか、という会に参加してきました。各社の守秘情報もありますのであまり詳しくは書けませんが、その中でいくつかの「気づき」がありました。 現場の方からすればそんなの当たり前だろう、という内容もあるかもしれませんが、皆さんの参考になれば幸いです。

「まずは安否確認」
今回の複合災害はあらゆる企業に大きな影響を与えています。
当り前なのですがいきなり「うちの部品大丈夫ですか?」では今まで築いてきた信頼関係を壊すことにつながります。
まずは社員や関係者の安否を確認する、これが鉄則です。

「情報収集は細心の注意が必要」
供給に問題がないかバイヤーの最大の関心事ですが、なかなか正確な情報は取得できません。執拗に情報を求めてもわからないものはわからない。
社内では営業部門を中心に「いつになったら部品が入ってくるんだ」と責められる。
この状況を打開する得策はありません。
ただ「いつ」「誰から」「どうやって」で複数の選択肢を持つことが大切です。

「ボトルネックへの対応」
復旧がある程度進んだ時点では本当にネックになる部品やアイテムが出てきます。
これにどう対応するか、代替品を手配する、別サプライヤを探す、輸入品で手当てする、これらの方法が考えられますが意思決定は難しいです。

「これからは生産枠取合戦」
生産能力は限られている。限られた生産能力の奪い合いがこれからは始まる。
この時点ではサプライヤといい関係を作れているバイヤーが有利という話もでてきました。

だいたい一般論としてはこのような内容でしたが、私が特に関心したのは以下の2点でした。

「過去の震災、事故から学ぶ能力の高さ」
今回関東だけでなく、関西のバイヤーも参加されていたのですが、阪神淡路大震災や他の震災、事故の経験を生かした対応策が効果的だったようです。
例えば震災後通信手段が非常に限定的であったわけですが、阪神淡路の震災後、衛星電話を拠点毎に準備している企業さんはこれが非常に効果的であったという話をされていました。またある企業では阪神淡路大震災の経験を生かしBCPマップ(サプライヤの拠点をリスト化し可視化できるもの)を作成し、見える化することで情報収集や情報整理に役立てていたとのことです。
このように特に関西の企業を中心に日本企業が過去の震災、事故から学ぶ能力の高さに改めて驚きました。

「無理をしないことが重要」
「情報収集」や「ボトルネックへの対応」において無理はしない方がよい、ということをおっしゃった方がいらっしゃいました。
私はこの意見に共感を覚えました。無理をして対応することで既存のサプライヤとの関係性にひびがはいる、そこまでいかなくても何らか将来に禍根を残す、こういうことがおこりやすい時期です。
日本企業は多かれ少なかれJIT生産方式を採用しています。
JITは何らかのトラブルがあった時にラインを止めるのが前提です。
そしてそのトラブルの原因を見える化し、徹底的に原因を直していく。
これが基本的な考え方です。つまり、無理をして生産を続けるよりも復旧に向けて全ての力を注ぐのです。その通りだと思いました。
これは経済活動全般に言えることかもしれません。
我慢は必要、節約や節電も必要。でも無理や過度な自粛からは何も生まれません。

皆さんの話を聞き、改めて日本企業の能力の高さと学習力を感じるとともに何か勇気をもらったように感じました

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野町 直弘

株式会社クニエ プリンシパル

NTTデータグループのコンサルティング会社である株式会社クニエの調達購買改革コンサルタント。 調達・購買分野に特化したコンサルティングを提供している株式会社アジルアソシエイツの元代表。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルがサービス提供を行います。

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