美容室Shampooに学ぶ、低価格・最適プロセスの設計法

2011.04.15

営業・マーケティング

美容室Shampooに学ぶ、低価格・最適プロセスの設計法

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 美容室・田谷の低価格店「Shampoo(シャンプー)」は顧客が自分で髪を整えるセルフブローならカット料金が1900円。美容師によるブロー仕上げでも2400円という低価格が売り物だ。そのShampooが「自動受付機」を導入するという。その狙いはどこにあるのだろうか。

 自動受付機の最大の眼目は、「来店回数」の向上と、「失客率」の低下となるはずだ。記事には「これまでは実施していなかった顧客へのダイレクトメール発送なども検討する」とあるが、それはQRコードで取得した空メールのアドレスに対する携帯メールだろう。
 美容室の販促といえば駅前でのチラシの立ち撒きが想起されるが、それは新規来店客獲得目的だ。実際にチラシで来店する数は多くないが、他にやる事がないから続ける。やらされる若い美容師のモチベーションも下がる。それよりも注力すべきは再来店促進だ。穴の空いたバケツで水を汲むのではなく、まず、穴をふさぐ。そのためにはアフターフォローが肝要なのだ。
 ついつい、忙しさにかまけて髪を切ることを先延ばしにしてしまう。そんな顧客に来店を促すことができれば、年間の来店回数向上することができる。また、低価格故に美容師との接触時間も、短くロイヤリティー形成ができていないがために「なんとなく他の店に」流れていくという顧客。その失客率も、DMによるフォローメールプログラムを設計・実施することによって低下させることができるだろう。

 消費者の財布のひもは、震災の影響もあり、ますます硬く閉ざされていくことは想像に難くない。それに対応するために、コストを削るだけ削った。サービスプロセスをシンプルにできるだけした。そうした企業も多くなるかもしれない。そのとき、果たしてそこに自社の利益をしっかりと残せる仕組み、競争優位を保って顧客を逃がさない仕組みが構築できているのかを振り返ってみたい。「Shampoo」の「自動受付機」は、その1つの解となるのだろう。

 

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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