トップセールスが共通して語っていた「3つのE」

2011.04.08

組織・人材

トップセールスが共通して語っていた「3つのE」

川口 雅裕
組織人事研究者 /NPO法人「老いの工学研究所」理事長/一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人

AISASの時代に、営業パーソンが語るべきことは何か。

営業に携わる人達にとって、商品に関する知識は当然必要なものでありますが、消費者の購買行動が、AIDMA【Attention(注意)→Interest(関心)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)】から、AISAS【Attention(注意)→Interest(関心)→Search(検索)→Action(行動)→Share(ネット上で評価を共有)】に変わったと言われるように、ネット時代では商品の情報入手が容易になり、それを営業パーソンに頼る必要性は極端に低下しました。

そもそも、トップセールス=最も商品知識がある人、ということはありませんし、商品知識が豊富になればなるほど成績が上がっていく、ということもありません。が、営業パーソンの教育や営業研修では、商品知識の習得・詰め込みがよく行われているようですし、ロールプレイでも、間違ったことを言っていないかどうかのチェックに終始しているようなことが少なくありません。商品知識偏重の営業教育は、成果につながりません。情報入手コストが格段に下がったネット時代において、営業パーソンに求められるセールストークとは、次の「3つのE」ではないかと考えます。

1.Evidence(証拠・証明)
この商品やサービスが顧客個別のニーズを満たすのは何故か、という証拠を示すことです。購入してもらうには、失敗したくない、だまされたくないといった顧客の警戒心や不安を解消しなければなりません。その為には商品のスペックや一般的なメリットだけでなく、その顧客個別の要望を満たす理由について、出来れば客観的なデータや論理で示すことが大切であるということです。ただしこれは営業側の「理屈」であって、購入という行動に導く、顧客の心を動かすには十分とは言えません。

2.Example(事例・声)
「例えば・・・」と言って、他のお客様の具体的な事例、喜びの声、高い評価などを挙げることです。他の方々は、この商品やサービスを利用してこう言っておられた、という話は顧客の心を動かします。顧客の多くは、他の人はどうしたのだろう(=自分だけ損をしたくない)、という関心を持っています。営業パーソンの言葉や広告を真に受けるほど、単純ではありません、状況やニーズを同じくする人達の評価や声を、的確に紹介していくことが顧客の心を動かすというわけです。

3.Episode(物語)
あるお客様の状況や迷われた内容、それに対して営業として提案したこと、結果やその後を具体的に紹介することです。上の「事例」とは異なり、一人のお客様のお悩みの状況やプロフィール、それに対するこちらの提案や支援、紆余曲折と結果についてお話しをします。他の人の成功話でお客様の気持ちを動かすと共に、それを支援した営業パーソンあるいは会社への関心と信頼を高め、大きな安心を持っていただくことができます。無味乾燥になりがちな商談を、エクサイティングなものにする効果も期待できます。

実はこの3Eは、ある大手企業で実施した営業研修のあとで、トップセールス数名に共通していることを考えていて気づいたことなのですが、営業部門で実施する教育・研修は、この3つのEを、顧客との対話の中にしっかり織り込めるようにすることが、大切なポイントだろうと思います。個人個人に対しては、各々の営業の経過や結果を振り返らせ、蓄積させることでしょうし、組織では、3E(証拠と事例と物語)を上手に共有していく仕掛け・仕組みを作らねばなりません。

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川口 雅裕

組織人事研究者 /NPO法人「老いの工学研究所」理事長/一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人

組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革・健康経営など)や、高齢者・高齢社会をテーマとした講演を行っています。

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