「東京じゃなきゃ人材が集まらない」の甘え

2007.10.16

経営・マネジメント

「東京じゃなきゃ人材が集まらない」の甘え

寺西 隆行
(株)Z会 教室事業部特命職

就職市場は売り手市場。地方中小企業の経営者からは「東京じゃないと人材が集まらない…」という声が聞こえてきます。 確かに、東京に本社が方あることは、若者へのアピールポイントとなるでしょう。しかしそれは、必要不可欠なものなのでしょうか? 本社の立地に関わらず、まず企業としてどうあるべきか、一つの企業の例から考えてみました。

『日経ビジネス』2007年10月15日号の「小さなトップランナー」で「平成建設」という建築業者が特集を組まれています。
見出しがこちら。

「大卒の大工集団を育成」

社員の出身大学も、京都大学大学院、早稲田大学、信州大学大学院…と、難関大学が含まれており、インタビューで紹介されている方は東京理科大学出身。そうそうたるものです。

このような大工集団が形成されたのは、最初から意図されていたわけではなく、平成建設:秋元社長の「想い」が形になった結果といえます。
記事から、その過程を見てみます。

秋元社長は大手ゼネコンなどで営業を担当。仕事の外注・丸投げをつぶさに見てきた
     ↓
外注・丸投げ先の現場労働者がお客様を見ていない姿に、現場と客と乖離を感じた
     ↓
現場労働をつとめる職人を自社に雇う「内製」の会社を設立し、お客様との距離を近づけようと考えた
     ↓
自社ですべてを抱えると人件費が高騰し、利益がなかなか出なくて苦しんだ
     ↓
職人をいくつもの仕事をこなせる「多能工」に育てることにして、業務全体を効率化した
※職人の世界は「単能工」が多く、一つの業務しかこなせない人材しか育っていない場合が多々あるようです
     ↓
「多能工」になるためには必然的に多くの物事を考え、処理できるだけの賢さが必要
     ↓
大学程度の学歴を必要とする需要が発生

そしてそこに

「建築学の学問的知識を活かしながら、現場の仕事にもずっと携わりたい!」

という若者の希望が重なり合い、夢を持って働ける職場が完成した、というわけです。
会社経営側の「想い」が一つのビジネスモデルを形成した例といえましょう。

さて、この平成建設、本社は静岡県沼津市にあります。
Z会本社のすぐ近く。
僕も建設現場で「平成建設」という会社名を何度も拝見したことがあります。

東京じゃないんですよね、本社が。
それでも、夢や希望を持った大卒の人たちが、しっかり就労を希望してくるという現実があるわけです。

この1、2年の就職市場は「売り手市場」です。

「東京に本社がなければ人材が確保できない!だから東京に本社移転だ!」

と焦る経営者や、焦る「東京(ないしは首都圏)に本社がない」社員も多いと聞いています。

しかし、平成建設の例を聞くと、「東京に本社がある」ことよりもずっと大事なことがあると思いませんか?
…そう、会社側の確固たる、そして他にない「想い」とビジネスモデルがあれば、地域性なんて関係なく、「その会社で働きたい!」という人は現れてくるものなんです。

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寺西 隆行

寺西 隆行

(株)Z会 教室事業部特命職

幼児から大学生・若手社会人の教育に携わる(株)Z会にて、教室部門にて様々な開発に奮闘中。前任ではWeb広告宣伝・広報・マーケティングなどを担当。 ※本サイト投稿記事は個人の見解です。

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