仕事とは「IN→THRU→OUT」の価値創造である

2011.01.04

仕事術

仕事とは「IN→THRU→OUT」の価値創造である

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

仕事とは端的に、「何かをINPUT〈入力〉し、THRUPUT〈処理・加工〉し、何かをOUTPUT〈出力〉する価値創造である」と言える。そこからきょうは「仕事・よい仕事」とは何かについて考える。

◆いかなる仕事も自分一人ではできない
 仕事という価値創造活動の入り口と出口には、これまでみてきたように、INPUTとOUTPUTがある。ものづくりの場合であれば、必ず、入り口には原材料となるモノがくる。そして、その原材料が植物や動物など生きものであれば、その生命をもらわなければならない。―――古い言葉で「殺生」である。
 そのときに、OUTPUTとして生み出すモノはどういうものでなくてはならないか、そこにある種の痛みや祈り、感謝の念を抱いて仕事に取り組む人の姿をこの二人を通して感じることができる。毎日の自分の仕事のINPUTは、決して自分一人で得られるものではなく、他からのいろいろな貢献、努力、秩序、生命によって供給されている。

 そんなことを思い含んでいけば、自分が生きること、そして、自分が働くことで何かを生み出す場合、他への恩返し、ありがとうの気持ちが自然と湧いてくる(日本人は昔から「針供養」という道具にまで情をかける精神を持っている)。そして「正の価値」を創造することでそれらに報いたいと思う。私はこれこそが「よい仕事」の原点だと思う。
 昨今のビジネス社会では、物事をうまくつくる、はやくつくる、儲かるようにつくることが、何かと尊ばれるが、これらは「よい仕事」というよりも「長けた仕事」というべきものだ。私は「長けた仕事」が悪いというつもりはない。言いたいのは、私たちは今一度、「よい仕事」についてもっと振り返る必要があるということだ。「よい仕事」とは、真摯でまっとうな倫理観、礼節、道徳、ヒューマニズムに根ざした仕事をいう。功利、効率、勝敗、序列は「長けた仕事」に属するものだ。

 「よい仕事」が一つ一つ連鎖することで、着実に、この世界は壮麗な織りものとして生成していく。私たち一人一人がきょう行う「IN→THRU→OUT」の価値創造はその一紡ぎ、一織りとしてとても大事なことだと腹に据えたい。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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