仕事とは「IN→THRU→OUT」の価値創造である

2011.01.04

仕事術

仕事とは「IN→THRU→OUT」の価値創造である

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

仕事とは端的に、「何かをINPUT〈入力〉し、THRUPUT〈処理・加工〉し、何かをOUTPUT〈出力〉する価値創造である」と言える。そこからきょうは「仕事・よい仕事」とは何かについて考える。

 さて、そうした「能力×意志×身体」による固有の価値創造回路を経て、私たちはOUTPUTを行う。何をOUTPUTするかといえば、知的な成果、精神的な成果、物的な成果である。それは例えば、
  ・自分が行う仕事(作品・サービス等)
  ・自分の想い
  ・自分の人格
  ・自分の身体  ……といったものである。

 OUTPUTするものは、目に見える具体的なものに留まらない。優れた芸術作品にはその作者の執念や美意識がいやおうなしに宿る。また一般的なビジネスパーソンでも、作成した企画書や報告文書の行間からはそのときの意気込みやら、あるいは逆に手抜き加減やらが滲み出てしまう。私たちは知らずのうちに自分の想いもOUTPUTしているのだ。さらにいえば、何十年という時間をかけ、私たちは仕事を通して自分自身という“人格”をもOUTPUTしているといえる。

 このように仕事を「IN→THRU→OUT」の流れでみたとき、仕事を改めて定義するとすれば次のようになる。

  仕事とは、
  知的/精神的/物的な素材を取り込み〈INPUT〉、
  能力・意志・身体を用いて新しい価値を生み出し〈THRUPUT〉、
  知的/精神的/物的な成果としてかたちづくる〈OUTPUT〉、
  価値創造である。

 さらにここで一点加えておけば、価値創造には「正」と「負」と2つの領域があることだ。「正の価値創造」は、善や真、美、徳に通じるもので、逆に、「負の価値創造」は、悪や偽、醜、不徳に通じる。人は誰しも正の価値創造をやるわけではない。負の価値創造をやる人もやはりたくさんいるのだ。

◆壮大に連鎖する「IN→THRU→OUT」の価値創造
 さて、こうした一人が行う一つの仕事(=価値創造)は、それ単独で成されるわけではない。先ほど触れたように、自分が行う仕事はさまざまな他者が行った仕事を取り込んで成されるものである。そしてまた、自分が出した成果は、今度は他者が仕事を行うときのINPUTになる。例えば、私のOUTPUTであるこの原稿を読んだ人が、それを思考のヒントや企画の材料としてINPUTし、何かの仕事を成すときがあるように。そんな連鎖を表したのが下図である。

 私たちは意識するしないにかかわらず、他者のOUTPUTが自分のINPUTとなり、また自分のOUTPUTが他者のINPUTとなっている。この連鎖のイメージを巨視的に発展させていくと下図のようになる。

次のページ「この世の中は自分一人が変えるには大き過ぎる」と誰しも思う。

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

フォロー フォローして村山 昇の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。