だれが百貨店を殺すのか?ネットで百貨店は変わるのか?

2010.12.09

営業・マーケティング

だれが百貨店を殺すのか?ネットで百貨店は変わるのか?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 業績不振に悩み続ける百貨店業界。「ネット流」の新しい動きが見え始めたというが、どうにも「ビミョー」なのだ。そうこうしているうちに、他業態にお株を奪われつつある観もある。

 12月8日付け日経新聞・消費面に「百貨店の買い物 様変わり 人気ランキングで売り場に直行」という記事が掲載された。若い男女が壁面パネルを見ている姿を撮影した写真には、「アンケートを反映させ商品をランキング形式で紹介する“モバイルランキング”(東京都千代田区丸の内の大丸百貨店)」という説明が添えられている。同店で今春から開始されたサービスで、ランキング上位の商品は売れ行きが飛び抜けてよいという。
 記事にある来店客の声は、「知らないブランドもランキング形式だと安心」「ランキングはほかの人が何を買おうとしているか一目でわかって便利」と好評だ。他社も同様の動きをしている。西武百貨店池袋本店では化粧品の売れ筋順位の紹介コーナーを、伊勢丹新宿本店は食品売り場で分野ごとの売れ筋1位商品のパンフレット設置をはじめたとある。

 記事の副題には「手早く情報、ネット流」と記されている。「買い物のスタイルが変わってきた要因とみられるのがネットの普及だという。「ネットは検索キーワードを入れるだけで瞬時に売れ筋がわかる」という特徴の影響から、大丸の担当者は「ネットの影響で手早く情報をほしがる人が増えている」と指摘。電通総研の四元部長も「商品情報の吟味 他社に頼る傾向」と題して消費者を取りまく情報量の飛躍的増大の影響を囲みでコメントしている。

 百貨店の業績は低迷を続けている。売上高対前年割れが、今年10月に31ヶ月連続を記録したと日本百貨店協会は発表した。その苦境を乗り切るため、確かに百貨店はネットと換骨奪胎して競合するよりも協調を模索しはじめている。
 東武百貨店では楽天とコラボレーションして「うまいもの市」という、楽天出展者を集めての物産展を開催し好評を博した。丸井は店舗に楽天出展者の常設売り場を置き、楽天市場には自社PB商品の靴・バッグのショップを出店する相互補完的な協業をはじめた。「百貨店からのネットへの接近」が消費者の「ネット志向」と相まって変化に拍車をかけているのは確かだろう。

 一方、人的な接客を磨いている業態もある。12月8日付け日経MJ・総合小売面の連載コラム「消費 見所カン所」。イオンモールの村上社長が、ショッピングセンター(SC)に入居する専門店の販売員による、接客技術コンテストを視察した感想として、「専門店の接客力向上 実感」見出しの言葉を語っている。イオンモールが運営する全国55カ所のSCは厳しい市場環境の中でも、専門店部分の既存店売上高が11月まで12ヶ月連続で前年を上回る。その原動力が「接客力」にあるというのだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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