創造する心~ものをみるために私は目を閉じるのです

2010.11.11

仕事術

創造する心~ものをみるために私は目を閉じるのです

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

「真」を求める創造、「美」を求める創造、「利」を求める創造、「理」を求める創造―――私たちはさまざまな次元で創造を行うが、昨今のビジネス現場では「うわべの理×利得」次元での創造に偏ってはいないか。

◆創造することの広がり図
 そこできょうは、「創造」あるいは「創造する心」について整理してみたい。まず私は、次の4つの創造の軸を考える。
 
  ・「真」を求める創造
  ・「美」を求める創造
  ・「利」を求める創造
  ・「理」を求める創造

これら4つの軸で図を描くと下のようになる。

 〈1〉真/美を求める「芸術」的創造
 創造といえば、大本命はここである。言葉を紡ぐ、物語を編む、句を詠む、曲を書く、音を奏でる、歌を歌う、絵を描く、形を彫る、器を焼く、書を認める、舞いを舞う、茶を立てる……これら美を追求する創造は、それ自体が目的となり、よいものが出来たことこそが最大の報いとなる。
 もちろんここでいう芸術的創造は芸術家の作品だけにかぎらない。暮れ泥(なず)む光の中で普段の道を歩き、ふと季節の変わり目の風を感じたとき、その驚きを何か手帳に書き留めておきたい、そうした詩心による作文も立派な創造である。また子供が白い画用紙に無心で描きなぐる絵も、浜辺で夢中でこしらえる砂のお城も芸術的創造だ。
 芸術的創造は、表現を極めていけばいくほど、それは求道となり、その先に見えてきそうな真なるものを見出したいという想いへと昇華していく。その昇華の過程では、創造は感性的な表現という優雅なニュアンスではなくなり情念の噴出を形として留める闘いに変容する。

 〈2〉美/利を求める「生活」的創造
 生活の中では実にいろいろな知恵が起こる。これは日常を美しく生きたい、便利に暮らしたいという気持ちから起こる創造である。例えば家電製品や生活雑貨の商品開発においては、ユーザーの使い勝手がいいように機能や形状を考えに考える。これはこの生活的創造の次元に立った作業である。

 〈3〉利/理を求める「戦略」的創造
 武力戦争にせよ、ビジネス戦争にせよ、戦いの場では勝利・生き残りをかけて、創造が活発に起こる。それは覇権を握るための仕組みづくりであったり、競争優位に立つための改良・改善であったり、相手を陥れるための謀(はかりごと)や実利を得るための駆け引きであったりする。
 ここでは、データを分析し、ロジックに考え、勝てる確率を客観的に上げていくという創造が行われる。

 〈4〉理/真を求める「研究」的創造
 20世紀、アインシュタインが残した世界最大級の創造は、E=mc2という数式。自然科学の世界の創造とは、物事を理で突き詰めていって、何かの法則を発見することだ。
 科学者の研究にせよ、学童の自然観察にせよ、その創造の源泉は、万人の心の中にある好奇心である。「なぜだろう?」「なんだろう、これ?」―――この単純な問いかけこそこの宇宙を貫く“大いなる何か”への入り口なのだ。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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