団塊世代マーケットは幻だった、は本当か!?

2010.10.20

営業・マーケティング

団塊世代マーケットは幻だった、は本当か!?

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

団塊世代マーケットは今のところ不発に終わったといわれている。数年前、90兆円の資産を持ち、大量の定年退職する人たちに対して各企業は色めき立ち、シニア市場の拡大を狙った。しかし、結果はまったくの不発だったと言ってもいいような状態だ。結局、団塊世代市場は幻だったのか。

団塊世代マーケットは本当に終わってしまったのだろうか。数年前、あれほど騒がれたにもかかわらず、最近は「夢のシニア市場」的論調は姿を消し、話題に上ることも少なくなった。2007年問題を機に、大量の定年退職する人たちに対して各企業は色めき立ち、シニア市場の拡大を狙った。しかし、結果はまったくの不発だったと言ってもいいような状態だ。

10月12日の日経オンライン小屋 知幸氏の記事にもあるように、団塊世代がリタイアすることによってシニア市場が花開くと言われていた予想は見事にはずれた。
それ以外でも、各方面でこのシニア市場の低迷は語られ、もはや「アクティブシニア」などというセグメントもなかったかのようだ。

シニアバブルを予言(?)した人たちは、金融、旅行、高額な趣味(ボートや車、カメラ、自転車…)、ゴルフ会員権、高級ブランド、グルメ、健康関連、などお決まりのライフスタイル分析をもとに、シニア市場がこれからの市場の中心になる、といった論調を張った。もちろん各業界も手ぐすねを引いて待っていた。

しかし・・・。商品開発の問題だろうか。そもそもの市場がなかったのだろうか。あるいは、彼らに余裕がなかったのだろうか。近隣への小旅行の増加以外、ほとんど何も起こらなかった。

ペルソナ的なライフスタイル論から見れば、子どもも独立し、余りある退職金をもとに、奥様との旅行や仲間との交流、定期的な社会貢献活動やリゾートマンション暮らし、月に1~2度の仕事の相談といった、華麗なリタイア生活を想像する人もいるかもしれないが、実態とはかけ離れていたのだろう。

「逃げ切り世代」と揶揄されることもあるが、晩年のビジネスマン時代は相当の苦労を虐げられたはず。リストラにおびえながらも若手登用の中で我慢を重ね、ぎりぎりの精神状態であったのは想像に難くない。しかも社会保障の将来にも不安が残り、安心の老後には程遠い心境だろう。その上、貴重な資産まで狙われてはたまったものではない。

住宅、マンション業界では、団塊ジュニアの市場が中心だという。しかし実際は、団塊ジュニアに家を自力で購入できる層などそう多くはないし、大半の団塊ジュニアの住宅購入を支えているのは団塊世代、彼らなのだ。

団塊世代自身においても、「こんなはずではなかった」と嘆く人は多い。これまで企業戦士として身を粉にしてきた彼らが会社を辞めたあと、本当の友人は思ったほどいない。
有名な話だが、「これからはゴルフ三昧だ」とはしゃいでいた人が、結局一緒に行くメンバーがそろわず、ゴルフもままならないという人は少なくない。

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