中国ビジネス10のミスマッチ(6/10)

2007.10.10

経営・マネジメント

中国ビジネス10のミスマッチ(6/10)

坂口 昌章

日本のファッション市場はファッション雑誌の影響が強い。しかし、中国はマスプロモーション全盛の時代であり、ファッション雑誌も日本のように成熟していない。欧米アパレル企業がどのようなプロモーションを展開しているのか。また、地元の中国企業のプロモーション戦略はどのようなものか。それらを研究し、プロモーション戦略を抜本的に再構築する必要がある。

6.雑誌広告とマスプロモーション

 日本のドメスティック戦略をそのまま中国に持ち込もうとして失敗している典型的事例が「プロモーション戦略」である。
 日本では、アパレル製品をテレビ等のマスプロモーションする時代は終わっている。細分化された顧客ニーズに対応したファッション雑誌とのパブリシティなど、絞り込んだプロモーション手法が主流だ。
 しかし、中国市場は日本とは全く異質だ。市場の成熟度、流通システム、メディアの種類と成熟度、ファッションとメディアの関係、顧客クラスターの類型、社会におけるファッションの意味・・・等々が全く異なるのだ。
 日本市場でも、昔からファッション雑誌広告がプロモーション戦略の中心だったわけではない。80年代のDCブランドブームと共に、プレスルーム、プレス担当が設置され、雑誌スタイリストという職種が確立し、サンプルの貸し出しシステムが定着した。それ以前は、映画、テレビがメディアの中心であり、大胆な広告戦略により、市場シェアが大きく左右することは珍しくなかったのである。
 現在の中国はマスプロモーション全盛時代である。したがって、利益のほとんどを広告につぎ込み、一気に成長するというビジネスモデルも見られる。欧米の一流ブランドもこの辺りの状況は理解している。高級百貨店でのイベント、地下鉄の駅貼ポスター、街中のポスターや垂れ幕、イベントの冠スポンサー等、中国のビジネス事情を理解し、中国の広告代理店、中国のメディアを上手く活用してプロモーション戦略を展開している。
 日本企業の多くは、日本の広告代理店に依存している。しかし、中国の現場を見ていると、中国市場の特徴を無視し、日本市場の成功例をそのまま持ち込むケースが目立つ。それだけで自己満足し、その効果を検証することも少ない。その一方で、最初から「費用対効果」を口にして、中国企業や中国人が提案するプロモーション戦略が却下されるケースも多い。その結果、中国市場に進出して2~3年が経過しても、全く知名度が上がっていない。

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