IFRSは改訂が頻繁に行なわれているので、ムービング・ターゲットと言われています。しかし、そのIFRSにも敢えて改訂しないことが決定されている項目があるのです。
②負債と資本の区分
負債と資本を分けるということは会計では最も基本的な原則の1つです。しかし、近年いろいろなタイプの株式が発行されるようになり、株式といっても借入と似たような性質を持つものもあります。また、国によっては借入という形式を取りながらも、実質的に債権者が株主のような権利を持っている場合もあります。何を資本とすべきなのかというのは古くて新しい問題です。
IASBでは、これまでの検討で普通株式のみを資本とするアプローチを改訂案として支持してきましたが、このアプローチも問題が多く、当面は現行の規定を維持し、時間をかけて検討するということに方向転換しました。
これらのプロジェクトは先送りにされたので、基準書が大幅に改訂されることは当面ありません。いつ検討が再開されるかは明確になっていませんが、コンバージェンスプロジェクトが完了した後はしばらく基準書の大幅な改訂をしないことが予定されています。日本がIFRS適用を予定している2015年頃は、アメリカの適用も想定されているため、まだ再開されていないと思います。このようなIFRSの改訂スケジュールを考えると、2015年頃というのは日本が IFRSを適用するのに適当なタイミングではないかと思います。
野口由美子
株式会社イージフ
http://aegif.jp/
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