行くならば貫き通さなければならない街づくり、国づくりの長寿化

2010.09.23

経営・マネジメント

行くならば貫き通さなければならない街づくり、国づくりの長寿化

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

国土交通省が道路やダムなど各施設の横断的な長寿化指針を策定する方針を決めた。方向性としては素晴らしい。 しかし、懸念がまったくない訳でもない。今回は、社会資本の長寿化をめぐる課題について考えていこう。

国土交通省が道路やダムなど各施設の横断的な長寿化指針を策定する方針を決めた。早ければ2012年度から国や自治体が管理する社会資本に新指針が適用されるという。

国がこのような方針を検討している理由は、増大する社会資本の更新コストの抑制。国交省は60年度までの50年間で更新費が190兆円に達すると試算。社会資本の長寿化対策を取らなければ、37年度には維持管理・更新費が現状の公共事業費全体の水準まで膨れあがり、新規事業に回す財源がゼロになると指摘。

また、これまで各施設の耐用年数を横断的に試算していなかったため、更新が特定の時期に重なる場合があり、高度経済成長期に整備された社会資本がこの先一斉に更新時期を迎え、そのための経費が集中する恐れもある。そのため、今後は、橋や下水道、港湾など各施設横断で耐久年数を試算、社会資本全体の更新費用を各年度に分散させる指針を国交省は策定する。(出所:2010年9月17日 日本経済新聞 5面)

方向性としては正しい。ただ、これはコストだけの問題ではない。環境負荷の減少、敬資源、敬エネルギーの観点からも望ましい。そうした観点で社会資本の長寿化を捉えると、橋や下水道、港湾、ダム、道路などの社会インフラに限らず、ビル、マンション、住宅など民間の建築物にも求められ、実際にその方向でゼネコン、住宅メーカも動き出している。

社会資本の長寿化はそれのみに留まらず、街づくり、国づくりをどうすべきかという民間の経済資本も含めたコンセプトの問題だ。単発、局所的に行われても効果が少ない。電気・ガス・水道・通信の配管工事の一体化や、それに合わせた道路補修など、行政と民間が一体となって集中的に行うことで効果が得られるものもある。

街づくり、国づくりという話になると、経済性だけでなく、文化の醸成も関わってくる。歴史の重みには価値がある。流行の先端を追いかけるのも良いが、時間を掛けて街並みを作っていくのにはじっくりとした味わいがある。

街づくり、国づくりのコンセプトに関わるだけに、国が方向性を決めればそれで済むという話ではない。利用者である我われ生活者および街づくり、国づくりに携わる供給者、地方自治体の誰もがその方向性に納得し、「よし、これからは我われの地元は、日本の街づくり、国づくりは長寿化で行こう!」との行政、供給者、買い手たる生活者のコンセンサスが必要だ。

とはいえ、対象が国民全員に亘るため、会議で過半数を得られるのを待つというものでもない。魅力あるコンセプトを打ち出し、それを体現していくことで賛同者を増やしていくのが王道だ。そういった意味でも、まずははっきりした方向性を示さなければ始まらない。

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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