アクアフレッシュ・YouTube CMで辿るその変遷

2010.09.21

営業・マーケティング

アクアフレッシュ・YouTube CMで辿るその変遷

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 テレビで流れていたCM。その歴史を遡ると、ロングセラー商品の生き残りのヒミツが見えてきた。

  「大人も子どもも、気になる虫歯」。小さな男の子と母親が仲良く微笑む映像。よくある歯磨きのCMの一コマは、「でも、特に気にして欲しいのは永久歯が生えたばかりの時」と続いた。子ども向けの歯磨きかと思っていると、最後に「子どもから大人まで、強く健康な歯へ」というキメのコピーに「アクアフレッシュ」と商品名。
 http://www.youtube.com/watch?v=c7CALZxU0TE

 ロングセラー商品は、その名の通り、ユーザーに買い続けてもらうことによって長寿を実現している商品だ。しかし、何の努力もせず生き長らえられるほど世の中は甘くない。プロダクト・ライフサイクルの延命するために、ロングセラー商品は、様々なバリエーションを出したり、新たな製品特性を取り込んだりという努力をしている。
 歯磨き粉のアクアフレッシュも新開発の成分を様々取り込んで性能アップをしている。だが、そもそも、「永久歯が生えたばかりの子どものため」や「子どもから大人まで」という商品だっただろうか?そこで、この製品の変遷をYouTubeにアップされているCMを探しながら辿ってみることにする。

 アクアフレッシュが世に出たのはWikipediaによれば、1981年のこと。正確には日本市場進出であり、英国ビーチャム製薬より商標権の貸与と技術提携を受けてサンスターが発売したとある。発売翌年の1982年のCMがYouTubeにアップされている。
 http://www.youtube.com/watch?v=2crIzVUu-As&feature=related

 「白は輝く歯のために、ブルーは澄んだ息のために・“歯と息、キラキラしてる?”」のコピーが懐かしい。当時は歯の表面構造が云々とか、歯磨き粉の成分がどうのとか、難しいことは抜きで、とにかく爽やかさを訴求していた。それに対して、アクアフレッシュの2トーンカラーは極めてわかりやすかった。
 爽やかさが支持されて、当時はティーンエイジャーの指名買いブランドであった。今日と異なり、家族の中で各々が好みや歯や歯肉の状態に合わせて自分用の歯磨き粉を使うような文化はなかったといっていい。確実に自社ブランドを購入させるためには、家族の中に強力なDMU(Decision Making Unit=購買関与者)を確保することが欠かせない。「歯磨き粉はアクアフレッシュじゃなけりゃ嫌だからね!」と娘に言われて母親がそれを選ぶという構造だ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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