ラーメン店の定番コショウGABANに学ぶB to Bマーケ

2010.09.17

営業・マーケティング

ラーメン店の定番コショウGABANに学ぶB to Bマーケ

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 ラーメン店など、飲食店のテーブルでおなじみのコショウ「GABAN」。その創業期の営業物語がポータルサイト・exciteのコラムで紹介されていた。そこにはB to Bマーケティングのキモが隠されていたのである。

 <飲食店のコショウはなぜGABAN?>(9月15日exciteコネタ)
 http://www.excite.co.jp/News/bit/E1284295853462.html

 GABANは株式会社ギャバンの登録商標である。同社は香辛料の輸入・製造販売
輸入食品販売を行っている会社であるとWebサイトに記載がある。2003年1月に味の素と業務提携契約を締結。04年8月にはハウス食品とも業務提携契約を締結し、そのハウスとの提携で07年6月には女優・黒木メイサがCMに出演した「GABANポテトチップス」も発売している。
 主力商品は、メタリックのシルバーとブルーに「GABAN」のロゴがカッコイイ、コショウだ。その缶をラーメン店などのテーブルに見ることは多いだろう。Exciteの記事ではなぜ、外食店に深く食い込むことができたのか、そのヒミツをメーカーに取材して書かれている。
 <「創業者は札幌ラーメン横丁を一軒一軒まわって、1缶ずつ販売した経緯があります。ブラックペッパーはラーメンに極めてマッチし、札幌ラーメンが全国に広がるのに合わせて、いつしかラーメン屋さんのカウンターになくてはならないものになっていったのです。また、ホテル・レストランのシェフを直接訪ね、品質の違いを説明するために、その場で缶を開けて香りを確かめてもらったり、簡単な料理をつくり納得してもらうよう手を尽くしました」>とある。

 B to BマーケティングにおいてはB to Cとマーケティングの4Pが大きく異なることが多い。Promotionは、CMなどの広告で行われることは少ない。まずは「人的販売」。営業担当者が動いてナンボの世界だ。ギャバンはそれを創業者自らが行ったのだ。さらに、Productも商品そのものの評価だけでなく、商品に関する提案やサポートやトレーニング、アフターサービスなどの付随機能も重要視される。料理を作って提案するなどの施策が奏功していることがわかる。そして、その営業がうまくいくか否かでPriceが大きく異なる。B to Cのようにメーカーが設定している定価や希望小売価格にはほとんど意味がない。「まずは見積から」の世界である故に、製品の価値をどのように伝え、高められているかがキモなのである。その意味ではPlace(チャネル・販路)の設計も重要だ。顧客が簡単に理解できるような商品なら、代理店などを使った営業でも構わないが、説明・説得な必須なようなら直営するしかない。ギャバンの場合、それが創業者自身による営業であったわけだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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