ブルドックソースの「たこ焼きセット」の謎

2010.08.31

営業・マーケティング

ブルドックソースの「たこ焼きセット」の謎

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 ブルドックソースといえば、日本のソース市場のシェア№1ブランドだ。その同社が、「家庭たこ焼き市場」に攻勢をかけているようだ。しかし、実に謎の多い商品であるといえる。

 Twitterやメールで関西在住の方に聞いてみた。
関西人にとっては、たこ焼きはお好み焼き同様、おやつとしてだけではなくご飯と一緒に食べる「おかず」の部類に入り、高い頻度で食卓に並ぶ。そして、そこで用いられるソースはオリバー、イカリ、オタフクなどだという。もしくは、それらの市販のソースに、トンカツソース、どろソースなど、他のソースを混ぜたり、ケチャップ、蜂蜜、しょうゆなど、別の調味料を混ぜたりと、さらに一手間加える家庭も多いという。そして、そのソースブランドの中にブルドックソースの名前は決して出てこなかった。

 だとすると、「おうちで本格たこ焼材料セット」はリリースにあるように、内食需要の高まりでたこ焼きが食卓に登場する期待が高い環境の中、ブランドに馴染みのある関東人をターゲットとして発売されたものなのだろうか。確かに粉や天かす、紅ショウガなどの材料を揃えても、使用頻度が低いため使い切ることができない。一方、「オタフクソース」「日清製粉」から競合となるセット商品も発売されているが、ソースまでセットされているオールインワンな商品はない。初心者には利便性が高い商品だ。

 しかし、関東人にたこ焼きを家庭で食べさせるには高いハードルが存在する。「たこ焼き器」だ。関西では当たり前のように家庭にたこ焼き器が存在するという。ベルリンの壁崩壊の時に、ベルリンの壁の横の屋台で社長がたこ焼きを焼いたことで有名な山岡金属工業の家庭用ガスたこ焼き器のような本格派から、電熱式、ホットプレート付属のものまで様々あるがそのいずれも存在しない家庭は多い。内食志向の高まり、家族でさっと作って食べるといえば、関東ではお好み焼きがせいぜいだろう。その代替品の選択がなされた瞬間に、メジャーな日清製粉やオタフクソースの粉やセットを購入されてしまう。

 関東向けと思われる商品ではあるが、実際に家庭に導入されるにはあまりにハードルが高い。故に、ターゲットが見えない。それが、この商品の最大の謎である。

 ある兵庫在住の方がTwitterで指摘してくれた。「関西でも30代前半の新米主婦には、良いかも。小麦粉からどう作ったらよいかわからないヒトに。それに材料を色々買うと高くなるので。」とのことだった。また、32個、4人家族で1人8つは少し少ないが、たこ焼きメインの食事ではなく、気軽に食べるなら楽に作れて需要はあるかもとの指摘をしてくれた方もいた。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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