日本から調達・購買がなくなる。東芝の調達費1兆円削減が示唆

2010.08.17

経営・マネジメント

日本から調達・購買がなくなる。東芝の調達費1兆円削減が示唆

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

東芝が、部品や材料などの調達費を今後3年間で計1兆円削減する方針を明らかにしました。 今回は、この取組が示すものについて考えていきます。

有識者、行政、マスコミの方々など外野では、日本はものづくり大国、日本はこれからもものづくりで競争力を維持、復活できるなどの楽観論、ナショナリズムやノスタルジーをくすぐる勇ましい議論が人気があります。

しかし、企業の現場では、そんな悠長なことは言っていられません。

理想論、べき論ではなく、個々の企業は具体的に何を考えているか、企業のものづくりの現場では何が起こっているかについて、こちらが肌で感じていることを、東芝の取組を参考に見ていきます。

東芝が、部品や材料などの調達費を今後3年間で計1兆円削減する方針を明らかにしました。具体的には、パソコンや薄型テレビなどデジタル機器を主な対象に、中国やインド、ベトナム、ロシアなど新興国で調達先を新規開拓、調達費に占める海外比率を2009年度実績の57%から3年後の2012年度に70%まで引き上げること、つまり海外調達比率の引き上げが今回の調達コスト削減の中心になります。(出所:日本経済新聞 2010年8月13日1面)

悲しいかな、幾ら有識者、行政、マスコミが日本のものづくりを守れなどと綺麗事をならべても、この流れは止まらないと考えます。企業は不断の競争の中に置かれています。その競争相手は、日本企業だけではなく、海外企業も含まれます。確かに、オールジャパン、オール国産でのものづくりは聞こえはいいです。

しかし、海外企業は、人件費、税金、操業コストの低さ、大胆な事業の選択と絞り込んだ事業への集中的な設備投資などにより、日本企業とは抜本的にコスト構造が違います。ですので、オールジャパン、オール国産でという理想論では、結局、製品レベルでの競争に負けてしまい、最終製品の形でモノが輸入されるという事態を招くだけです。

日本のものづくりをどうするかの前に、自身としての生き残りを考えなければならない個々の企業としては、製造を海外に移すか、部品や材料レベルで海外からモノを持ってきて、コスト構造を競争相手に見合ったものにしなければなりません。自社だけが日本のものづくりを守ると言っていては、隣の国内企業にも出し抜かれるだけです。

サプライチェーンマネジメントの観点からは、最終カスタマイゼーションの工程だけを需要地近くに置き、材料・部品レベルでは標準化、グローバル最適地への生産と在庫拠点の集約が必須となっています。そのため、様々な業種で、これまで日本からの輸出で対応していた需要部分についての現地生産化が進んでいます。

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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