巧妙!「蚊に効くカトリス」のCMに隠された罠!

2010.08.12

営業・マーケティング

巧妙!「蚊に効くカトリス」のCMに隠された罠!

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 「こんなことでCMになるのかの、実験!」調子っぱずれの素人くさい歌声が耳から離れない「蚊に効くカトリス」のCM。しかし、その背後に隠された意図は、実験どころか精緻に練り上げられたものに違いないのだ。

 「蚊取り線香」に始まり、「殺虫剤キンチョール」、化学ぞうきん「サッサ」、使い捨てカイロ「どんと」などの数々の商品を世に送り出してきたのは「大日本除虫菊株式会社」。その名前が意外と知られていないのは、「金鳥(KINCHO)」のブランド名があまりに有名だからだろう。そして、その知名度はCMの効果によるところが大きい 1986年「タンスにゴン、亭主元気で留守がいい」、91年「ムシムシコロコロキンチョール」、92年「30日、30日イッポンポン、キンチョウリキッドイッポンポン」・・・。いくつもの大ヒットCMを世に送り出してきた。そして、今、ネット上でも大きな話題となっているのが「蚊に効くカトリス」のCMである。

 <蚊に効くカトリス「実験」篇>(CM動画:同社ホームページより)
 http://www.kincho.co.jp/cm/html/katorisu_jikken/index.html

 <「こんなことでCMになるのかの実験」と半ば自虐的な唄で、クスッとでも笑っていただけたら、こちらの狙い通りです>とホームページでCM制作のエピソードを伝えているが、ズバリ狙い通りTwitterでは「カトリス」のキーワードでいくつものツイートが」ヒットする。gooのBlog検索やkizashi.comの検索でも多数のBlogが話題として取り上げていることがわかる。口コミ効果バッチリ。

 インパクトのある歌声と歌詞が話題になりがちだが、それが思い出される時、同時にCMの映像も脳裏に浮かばないだろうか。「ドライアイスをかけてみました」というテロップに続き、煙がきれいに周囲に拡散していく、あの映像だ。ホームページでは<効きめが広がっていく様子をどうやったら視覚的に伝えられるか・・いろいろ試行錯誤した中で、ドライアイスをかけるのが最もわかりやすかったので、これを採用しました。カトリスは、煙もニオイもないけれど、ちゃんと効いていることがわかっていただけたでしょうか>と伝えている。まさに、それがこのCMで伝えたかったことなのだ。

 除虫剤の歴史をひもといてみれば、1890年(明治23年)に世界初の棒状蚊取り線香「棒状蚊取り線香」が発売された。その後、改良が加えられ、1902年に渦巻型蚊取り線香が発売された。1910年に「金鳥」の商標が登録され、以後、「金鳥蚊取り線香」が除虫剤の代名詞となった。
 長きにわたる王座の地位に挑戦者が現れたのが、1963年のこと。噴霧式殺虫剤トップシェアのフマキラーが、世界初の電気蚊取り器「ベープ」を世に送り出したのだ。化合物をマットにしみこませ電気で加温することで、蚊取り線香より高い効果と長い燃焼時間を実現した。しかし、それは当初全く売れなかった。「ベープマット」は安全性と、燃焼時間、煙が出ないという点において、蚊取り線香に対して明らかな優位性があったにもかかわらずだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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