なぜ「胸を小さく見せるブラ」が売れるのか

2010.08.11

ライフ・ソーシャル

なぜ「胸を小さく見せるブラ」が売れるのか

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

ワコールの隠れたヒット商品がある。ネットでは結構話題になった「小さく見せるブラ」である。ブラと言えば、寄せて上げて少しでも大きく、きれいに見せるのが売りかと思えば、そうではなかったのだ。

ここで考えてみたいのは「バストを小さく見せたい」ニーズの背景にあるかもしれないパラダイムシフトについて。ここから先は、完全に筆者の独断と偏見に基づく仮説である。

少し前に「ユニセックス」なる言葉が広まったことがあった。その本来の定義は、男性らしさ、女性らしさをあえて誇示するのではなく、男女どちらでも着ることのできるファッション、といった意味合いだったと思う。これは中性的と表現しても良いだろう。

注目したいのは、そのニュアンスである。ユニセックスからアグレッシブさを感じることはない。あくまでも中立的というか、無色透明というか。流れにたゆたうようなイメージである。

アンチ、あるいはアグレッシブな時代へ


しかし「バストを小さく見せる」のは、ユニセックスのようなノン・アグレッシブなスタンスではないと思う。中性的イメージで良しとするのではなく、あえて誇張するなら「女性性」の否定、とすると言い過ぎだろうか。

そう考えると、男性サイドに見られる変化にも納得がいく。『草食系男子』の出現である。草食系男子の定義はいろいろあるようだが、共通するのは、従来の若い男性に潜在的につきまとっていたガツガツとした「男性性」の否定だと思う。

つまり、今はユニセックスからアンチセックスへの移行期ではないのか、と仮説を立ててみた。男性は男性らしく、女性は女性らしく、という考え方の大本にあったのが、生存本能だとすれば、その転換期といってもいいのかもしれない。

価値観の転換期


だから「今は価値観の転換期なのだ」と言い切るのは、飛躍がありすぎるとは思う。しかし、少なくとも日本では、従来の価値観が崩れている(崩れつつある?)ことだけは確かではないだろうか。

たとえば、いま50才を迎えている筆者にとって、日本が世界第二位の経済大国ではなくなることは、世界観の転換を強いられるぐらいにはショッキングな出来事である。あるいは、最近話題になった事件だけではなく、全体的な印象として、親による子ども殺しが増えていることも。

教育格差の話の中で取り上げられる「学ばないことに価値を見出す子どもと保護者」がいることもそうだ。ブラジャーの話から、えらく飛んでしまったけれど、今の日本をこれまでの価値観が大きく揺らいでいる社会と捉えると、風景の見え方が変わってくるのではないだろうか。

※本エントリーの作成にあたっては、次の記事を参考にしました。
日経産業新聞2010年7月16日付1面「ヒットの経営学 お客は腕利き開発者」

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