なぜ日本の職業訓練までもが「スキル」にこだわるのか?

2010.08.05

経営・マネジメント

なぜ日本の職業訓練までもが「スキル」にこだわるのか?

荒川 大

資格取得に向けて暴走ぎみの「緊急人材育成支援事業」という日本の職業訓練の仕組みについて、思うところを書いてみます。

それは「同一職種同一賃金」です。ILO条約の批准であり、正社員・契約社員・派遣社員を問わず、同じ仕事であれば同じ賃金を支払うという法令が定められることではないかと思います。

しかし、実際にそんなことが可能なのか…と言えば、正直なところ無理だと思います。

そんなことをしてしまえば、今以上に正社員の雇用が不安定になるだけで、日本経済の安定も発展も遠のいてしまう可能性があります。ですので、日本企業の一般的な採用スタイルに合わせた就職対策及び職業訓練が必要だと思うのです。(これについては別のコラムにて改めて書きたいと思います)

実際に職業訓練プログラムでの講師をやっていると思うことは、受講生一人ひとりと向き合えば、学歴によらず、年齢によらず、性別によらず、十分な理解力と一般常識があることが分かります。

しかし、大勢の中で、競争の中で、正しく自分を表現し、他人を尊重し、成果に向けてステップを踏み、ゴールを目指すという点においては、経験不足もあるとは思いますが、やはり「殻」の中にいる感が否めないのも事実です。

これは、過去毎年数十名の採用を行ってきた人間としては誤差でしかないと感じられるのですが、しかし大きめの誤差であることも事実です。ことキャリア形成においては「能ある鷹は爪を隠す」ということも、就職活動を闇雲に続けていればきっとチャンスがあるといった淡い期待も全て意味がありません。

正しく自分自身の状態を理解し、表現し、インテリジェンスの授受を行わなければならないのです。働くために妥協は必要でも、迎合することは望まず、ビジネス上必要な適切な言葉と表現力で誤解の無いコミュニケーションが必要です。

そういう意味で、現在行われている「就活塾」や「就職支援」、再就職支援や職業訓練が、本当に受講生のためになっているのかは、第三者の立場で確認する必要があると思います。

◆ 年代毎に異なる求められること

厚生労働省の指導により求人情報には募集年齢を記載できないことになっています。

しかし、面接時には、自社にいる各年代の社員と比較して選考を行っていますので、実際には求人情報には年齢条件がセットになっています。

その点から考えても、入社するために必要なスキルを整理することが最も重要であり、企業が求める人物像を自分のチカラで確認する技が重要であり、入社してから既に勤務し続けている社員と切磋琢磨して成長のスピードを合わせていくことも重要となります。

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