コンサルタントとして経験を積まれてきたパスファインダーズの日沖博道さんは、事業承継した後継者が苦労している現状を解決したいとの思いから、後継経営者層を主な対象とした経営戦略研究会を立ち上げました。事業承継の実態はどうなのか、後継者の苦労とは何か、日沖さんにお話を伺いました。
お相手:パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長 日沖 博道様
聞き手:猪口真
後継者の悩みに寄り添う
猪口 2022年に、コンサルタントとしてキャリアを積むためにはどのような能力が必要なのか、またコンサルタントとしての仕事の楽しさや厳しさについて、お話を伺いました。(https://www.insightnow.jp/article/11554)
日沖さんはパスファインダーズを設立して主に大企業向けのコンサルティングで実績を積み重ねる一方で、中小企業経営者のための経営戦略研究会「羅針盤倶楽部」を立ち上げられました。
日沖 羅針盤倶楽部は、第二創業期を迎える中小企業経営者、特に後継経営者層を対象とした経営戦略研究会です。事業承継するにあたって、自分で直接教える時間がなかなか取れない。若く経験の浅い後継者に、信頼できるメンターをつけたい。一部の業務を任せるだけでは見識が足りず、後継者を育成するという観点でも何か欲しい。そのように感じている経営者の方々を支援しています。
当倶楽部の事務局として、パスファインダーズ社が事務連絡や会費の徴収、ワークショップを含むイベントの準備・設営など、各種運営サポートを担っています。
猪口 今、2025年問題と言われているように、後継者をどうするかは本当によく聞く話ですね。
日沖 事業承継に悩む経営者は、実に中小企業の半数以上を占めると言われています。その解決策として第一に挙がるのが、「後継ぎを探す」ことです。これまでは、自分の子や子の配偶者に継いでもらうのが事業承継の主流パターンでした。ところがなかなか継いでくれないので、今度は内部昇格と外部の両面から探すことになります。社内にふさわしい人がいればその人を昇格させればいいのですが、実際にはなかなかいない。外部を探しても、なかなか来てもらえない。最近はM&Aという手段も浮上してきていますが、現実問題としてリスクもあり、簡単に見つかるわけではありません。
というわけで、けっきょく一周回って、身内にもう一度頼み込むことになります。この時、後継ぎ候補の人が最も懸念するのは、「この先、本当に見込みがあるのか」ということです。たいていの場合、彼らは内部にまだ入っていません。外で働いて、すでにサラリーパーソンとして一定のキャリアを築いています。将来もそこでやっていくほうがリスクは少なく、ましてや配偶者から「実家の商売なんて先が見えない。今の会社を続けてほしい」と言われてしまったら、なかなか踏ん切りがつきません。
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