創造的に逸脱する力 ~『Kind of Blue』ライナーノーツから

2010.06.20

組織・人材

創造的に逸脱する力 ~『Kind of Blue』ライナーノーツから

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

茶の間からサッカー日本代表の決定力不足を指摘することは簡単だ。しかし、このことは日本人全体に投げかけられる「創造的逸脱力の弱さ」問題なのだ。

 NHK教育テレビで放映中の『坂本龍一~スコラ/音楽の学校』は、とてもよくできた番組で、多くの人に勧めたい番組である。もちろん音楽について学べるのだが、私は教育方法論の角度から多くのことを学ばせてもらっている。一度きりのテレビ番組ではなく、恒常的に全国津々浦々でこうした学びの場ができないものか―――それを考える。

 さて、その番組で、Jazz音楽の歴史をやる回があったのだが、そのときにマイルス・デイビスの名盤『Kind of Blue』(1959年)の紹介があった。番組ではその中の代表曲『So What』を教材に使っていた。番組が終わり、CD棚からそのアルバムを取り出し久しぶりに聴いてみた。
 そして、アルバムの中に入っているライナーノーツにふと目をやると、ピアノでこのアルバムに参加しているビル・エヴァンスが小文を書いている。このアルバムは大学生のころから聴いていて(当時はLP盤だったが)、そのころも多分このエヴァンスの文章を目にしていたとは思う。しかし、きょうのきょうまで素通りで読んでいた。
 いま、この“IMPROVISATION IN JAZZ”(ジャズにおける即興性)と題された小文を読むと何ともびんびんと響いてくる。エヴァンスの言っていることに対し、ようやく私の受信機レベルが受け入れ可能状態になったのだろう。名文や名著の類は、受信側の心に準備ができたときはじめて、行間から光が射してくるものである。

 エヴァンスの書き出しはこうだ……
 “There is a Japanese visual art in which the artist is forced to be spontaneous. He must paint on a thin stretched parchment with a special brush and black water paint in such a way that an unnatural or interrupted stroke will destroy the line or break through the parchment. Erasures or changes are impossible. These artists must practice a particular discipline, that of allowing the idea to express itself in communication with their hands in such a direct way that deliberation cannot interfere.

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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