その先のトレンドを読め!ゼロ系飲料の栄華は続くか?

2010.06.09

営業・マーケティング

その先のトレンドを読め!ゼロ系飲料の栄華は続くか?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 炭酸飲料、特に「ゼロ系」といわれる糖類やカロリーがゼロの飲料が好調だ。一部のメディアでは「飲料の勝ち組」と持ち上げている。しかし、その売れ行きはいつまで続くのか。

 <ゼロ飲料が勝ち組に浮上、夏を前に飲料市場に大異変>(livedoorニュース・ZAKZAK 6月7日 )
 http://news.livedoor.com/article/detail/4813050/

 上記の報道では、飲料の中の「勝ち組」としてゼロ系炭酸飲料、特に「透明炭酸」、即ち「サイダー」をあげ、一方の「負け組」をミネラルウォーターとしている。そして、その象徴として<キリンビバレッジは4月6日、糖類ゼロの炭酸飲料「大人のキリンレモン」を発売し、ゼロ飲料市場に進出してきた。その2日後、ハウス食品がミネラルウォーターの「六甲のおいしい水」事業をアサヒ飲料に売却し、撤退すると発表している>という業界内の動きをあげている。

 確かに上記は業界内のマクロ的な動きをとらえている。さらにその要因として消費者の行動を加味するとわかりやすいだろう。
 景気の低迷による節約志向の高まりから、ミネラルウォーターは代替として水道水を浄水器で浄水すれば事足りるため、低迷しているのだ。業界筋によれば、売上げがプラスなのは若年層の支持を集めるコカ・コーラの「いろはす」だけであるという。その代わりに、「ブリタ」などのポット型浄水器が売上げ好調で、それを用いてマイボトルを持ち歩く「水筒男子」やら、浄水器を愛用する「水道男子」やらという人々が登場した。同様の理由で、自分で淹れられる緑茶飲料も低迷中だ。

 そもそも、炭酸飲料がプラスに転じたのは、「炭酸=高カロリーで身体に悪い」という常識を打ち破る「ゼロ」が登場したためだ。記事中で<ブームの火付け役は、2006年3月にサントリー食品(現サントリーフーズ)が発売したカロリーゼロの「ペプシネックス」だ>と指摘しているとおりである。

 記事中で流通担当アナリストのコメントとして、かつての緑茶飲料は乱売合戦で市場がマイナスになった。そして、<緑茶の二の舞になったのがミネラルウォーター。急成長を遂げているゼロ飲料も、同じコースをたどるのではないか>とコメントしている。
 筆者としては、前述の通り、ミネラルウォーターと緑茶飲料の低迷は、乱売合戦というよりは主因は消費者による代替だと考えているが、ゼロ系炭酸飲料も今のままで右肩上がりを続けるワケではないことには賛同できる。

 「乱売合戦」の影響といえば確かにそれにあたるのだろう。炭酸飲料に限らず、ゼロ系飲料には大きな懸念がある。「ゼロ」が氾濫しすぎて、「何ゼロ?」だかわからなくなっているのだ。同じ「ゼロ」でも、それが示すものが「糖質」だったり「カロリー」だったりする。また、厚生労働省所管の健康増進法の栄養表示基準の示す「ゼロ」は、完全なノンカロリーや糖分ゼロではなく許容値範囲があることも問題視され始めている。
 そのような、「ゼロ」のわかりにくさの問題以外にも、「ゼロの氾濫」による「消費者の飽き」も懸念される。過ぎたるは及ばざるがごとしだ。「こんなに美味しくてゼロでカラダにいい!」という驚き、喜びをなくしてしまっては、消費が鈍化するのは否めない。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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