地方活性から日本再生へ 知事の思いは今・佐賀県古川康知事3

2010.05.27

経営・マネジメント

地方活性から日本再生へ 知事の思いは今・佐賀県古川康知事3

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

改革は地方から。ここ数年目立つのが、元気で、はっきりとものを言う知事たちだ。言行一致で改革を進めるその活躍ぶりは、日本の将来に明るさを感じさせてくれる。地方自治の要、都道府県政を指揮する知事は、企業にたとえるなら経営者である。さまざまな抵抗を打ち砕きながら、改革を遂行する考え方、行動力はマネジメントの良き手本となるだろう。知事の改革を紹介するシリーズ、今回は、佐賀で改革を断行する古川知事である。

「いわゆる総務部をなくすことです。総務部だけではなく人事課も財政課もなくしました。その代わり現場が現場に集中できる体制を整えたかったのです」

現場感覚を重視する知事ならではの組織体制である。やる気のある職員なら、当然やりがいを感じるはずだ。

「誰がやっても同じ答えになるような仕事は、もうコンピュータがやる時代でしょう。そうではなくて職員がやるべきは、人によって答えが違う仕事だと私は思います。現場で自分が判断する。自分はこう考える、私はこう思う。考えた結果は違って良いのです。ただし、自分の考えには責任を持ってもらいたい」

やわらかな語り口とは裏腹に、職員に求めることは厳しい。国が下ろしてくる通達や要綱に従い、粛々と物事を進めるのは、頭の良い職員にとっては簡単な業務である。ところが自ら問いを立て、答えを求めるとなると、これまでとは違う頭の使い方をしなければならない。

「議論をして欲しいのですよ。自分の考えをはっきりさせてもらいたい。九州新幹線西九州ルートや九州国際重粒子線がん治療センターのように大きなプロジェクトを動かしていくためには、キーパーソンの動きが決定的に重要なのです。そういう人物を一人でも多くピックアップしたいのです」

だから知事は、人事に際しても独自の視点を持っている。配属希望の理由に注目するのだ。

「今まで自分はこういうことをやったことがない。だからこそやってみたい。こう考える人を私は登用します。やったことがあるから、やらせてくれ、ではありません。ただし誤解しないでいただきたいのは、制度のかちっと固まったところできちんと仕事をする人を評価していないわけではないということ。組織運営には適材適所が大切だと考えているのです」

県庁改革を進める知事は今、企業改革の手法を取り入れようとしている。トヨタのカイゼンである。しかし製造業の手法を、どうやって県庁業務に応用しているのだろうか。



⇒次回最終回
「視察に行く県から、視察団が来る県に」へ続く(全四回)

『佐賀県 関連リンク』
佐賀県HP:http://www.pref.saga.lg.jp/web/
古川康のパワフルコム:http://www.power-full.com/
有明佐賀空港:http://www.pref.saga.lg.jp/at-contents/kuko/index.html
佐賀県職員採用試験情報HP:http://www.pref.saga.lg.jp/web/jinji.html
九州国際重粒子線がん治療センターHP:http://www.saga-himat.jp/
九州新幹線HP:http://www.pref.saga.lg.jp/at-contents/kenseijoho/shinkansen/index.html

◇インタビュー:竹林篤実/坂口健治 ◇構成:竹林篤実
◇フォトグラファー:安住 羊助 ◇撮影協力:アンジュウ写真館

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