京都企業、強さの秘密

2007.09.25

仕事術

京都企業、強さの秘密

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

京セラ、オムロン、ローム、日本電産。先端産業のコアパーツとなる電子 部品メーカー大手では京セラがトップ、二番手以降にも京都企業がなと連 ねる。他にも任天堂やワコールなどユニークな高収益企業が多い。なぜ、 京都企業には独特な強さがあるのだろうか。

同じような例がある。実は日本初のベンチャーキャピタルができたのも京
都である。その「京都エンタープライズ・ディベロップメント(KED)」
は1972年、オムロン、ワコールに京都銀行など京都経済同友会のメン
バーを中心に設立された。売上1兆円が視野に入ってきた日本電産も、過
去にKEDからの融資を受けたからこそ今の姿がある。創業直後、資金繰り
に詰まった同社はKEDから受けた500万の融資で息を吹き返し、そこか
ら反転?成長を遂げ日本を代表する企業となったのだ。

最後に残った情報はどうなのか。

まず考えられるのは京大を中心とする大学が多いことが有利に働いたであ
ろうこと。東大は官僚指向が強いのに対して、京都は研究指向・実学志向
である。そこで積み重ねられた厚みのある研究成果は企業にさまざまな恩
恵をもたらしたはずである。また千年の都が蓄積してきた歴史の知恵も京
都には受け継がれている。

ロームの幹部が商工会議所の集まりで名刺交換したときには「うちは創業
400年、おたくは孫みたいなもんですな」とあしらわれたこともあると
いう。こうした歴史の厚みが無形の情報となって積み重なっていることも
想像に難くない。そうした知恵はおそらく企業経営に関する貴重なノウハ
ウとして京都企業に伝えられてきただろう。

とはいえ生粋の京都人は基本的に「いけず」である。だからよそ者に簡単
に知恵を授けたりはしない。しかし京都人は根っからの新しもの好きでも
ある。だから日本で初めて市電が走ったのも、疎水で水力発電が始まった
のも京都である。新しくておもしろいもの、役に立ちそうなことを素直に
受け入れるだけの度量は持っている。

これはあくまでも推測だけれど、鹿児島出身の稲盛氏(京セラ創業)や熊
本出身の立石氏(オムロン創業)、東京出身の佐藤氏(ローム創業)など
のよそ者に対しても京都の老かいな知恵者達は最初、いけずな目を注いだ
のではないだろうか。「若造が、いったいどれほどのことをしやるやろ」
と冷静に観察していたはずだ。その厳しい目を経て彼らが本物であると認
めたときに、京都の旦那衆は有形無形の支援をしたのではないだろうか。

以上が京都企業の強さの秘密である。ただし残念なことにこうした秘密の
いくつかはすでに過去のものとなりつつある。たとえば工芸職人の技術に
ついては、いま生きている職人さんの世代で絶えてしまう危機にさらされ
ているものが多い。

かろうじて大学は健在だ。しかし最近の京大発ベンチャーは東京指向が強
いようだ。戦後間もなくの創業組はすでに大企業となっており、それに続
くベンチャーが今のところ京都にはない。今後の京都には黄信号が灯って
いるのかもしれない。

しかし変な会社「はてな」には京都回帰の計画があるという。あるいは大
阪企業のようにいつの間にか、本社機能を東京へ移転してしまったなどと
いう企業も少ない。京都人としては「都落ち」は論外なのだ。それに京都
企業で強いところにはメーカーが多い。意外な分野での京都発のメーカー
が近いうちに登場することを期待したい。

※毎日新聞特集「京都流の強さ」2007年9月11日?17日を参考に
しました。

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