統合か細分化か、2010年度の組織改編に何が見えるか。

2010.03.21

営業・マーケティング

統合か細分化か、2010年度の組織改編に何が見えるか。

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

各社が例年になく組織の改正、改編に動いている。2010年度4月からの新組織としての再編の運命はいかに。

クライアントからしても、いわゆる「囲い込まれ感」はぬぐえず、現在のようなグローバルにソリューションが散らばる状況の中で、自分たちなりの選択をしながらオリジナリティを追求したくなるのは当然のことでもある。
また、担当窓口が変われば、出てくる提案も違うということはよくあることで、ワンストップソリューションとはいっても、結局は、接点となる営業やアカウントマネージャーの判断ひとつで商品やサービス、つまり戦略が変わるということも否めない事実だ。

逆に同じく顧客ニーズへの対応、スピードアップを実現するために、分割、細分化を図る企業もある。
三越伊勢丹HDは顧客ニーズに対し、より迅速な意思決定を行うためだとして、地方の百貨店を地域事業会社に承継させる。
パイオニアは、事業本部制を廃止し、顧客・ビジネスプロセスごとに事業単位を細分化する。

できるだけ現場に権限委譲を行い、現場の顧客ニーズへの対応をいち早く決定し、すばやく行うためだという。確かに何か行うたびにいちいち本部に承認を求められてもスピードは落ちるばかりで、行動を起こす際にはもはや手遅れとなる。

分割と総合を併せたような組織再編もある。
住友林業は、商品開発部を廃止し、企画や設計などファンクションごとに他の部門に振り分けた。商品開発をスピードアップするためだという。
多機能の部門は重複する業務が多々でてくる。そうした機能を統合し、重複作業を削減し、スピードアップを図るという視点は正しいのかもしれない。しかし、ひとつひとつのプロジェクトが複雑化し、多様化すると、かつての部門間調整といった悪癖がまた出て来はしないかと不安になる。

また、数は少ないが、新しい市場開拓へ向けての部門設立の動きとして、電通は、「DENTSUGAL LABO」という「ギャル」の内面性やパワフルな生き方をビジネスにつなげるプランニングチームを立ち上げた。
新しいコンテンツが新しい市場開拓につながるか、注目したいところだ。

東京大学の中原淳准教授も「あらゆる仕事は大規模化、複雑化、スピード化されている」(PRESIDENNT 2010.2.15)と指摘するように、あらゆる企業がこの3つの課題に対して答えを見出さなければならない状況であるのは確かだろう。
こうした課題に対応する組織とはどのような形なのか、まだまだ答えの見えない世界であるのも確かだ。常に試行錯誤を繰り返しながら、環境の変化に対応していくしかないのだろう。

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