コンプライアンスやガバナンスを制度化するために一先ず社内規程の統一的な整備を推奨していますが、最終的には取締役会による「判断」が求められますので、ISOよりもBCM(BCP)よりも、企業幹部のリスク感覚の醸成から。
例えば、以下のような有事の際に、御社では誰が何をすべきか決められていますか?
1.本社が入居しているビルで火災が発生し、オフィスが水浸しになった
2.深夜に従業員が飲酒運転で人身事故を起こした
3.海外にある工場でストライキが発生して操業が2週間停止した
4.代表取締役が急病により1カ月入院した
5.会社システムがウィルスに感染し顧客情報が流出した可能性がある
このような事態が発生すれば、通常はリスク対策委員会や関連部署によるプロジェクトチームを編成して対策にあたるのですが、それらを総括し、会社内で発生する不安や風評を封じ込める役割を担う幹部がいなければ、冷静かつタイムリーな対策を打てなくなる可能性が高くなります。
最終的には、取締役会または取締役会から権限を委譲された社内プロジェクトが有事への対応を行うわけですから、それらを統括できる有事のプロが社内にいることが重要であり、これからの企業幹部にはリスク感覚をより強く持って頂く必要があると思います。
都内にある上場企業の取締役の方とリスク対策についてお話ししていた際に伺った「過去数十年間、日本にはリスク対策の専門家がいなかったけれども、いくつもの有事を乗り越えてきたチカラがある」というお話し。
それは過去に、有事に備える人材が育っていたということだと思いますが、有事は時代と共に難易度が増し、Internetを介した情報伝達の早さから、個別対応のスピードを求められるようになっています。
リスクコンサルティングを受けることも一つの手段ではあると思いますが、あらゆる企業で、日経ビジネスでも週刊ダイヤモンドでも、ハーバードビジネスレビューでもかまいませんので、他社の有事の事例を活用して、経営幹部の方々が話し合う時間を持って頂ければと願います。
ぜひ一度、セキュリティではなく「企業防衛」という切り口で、企業幹部の方々が自身の管理する事業を再点検して頂ければと思います。
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