コンプライアンスやガバナンスを制度化するために一先ず社内規程の統一的な整備を推奨していますが、最終的には取締役会による「判断」が求められますので、ISOよりもBCM(BCP)よりも、企業幹部のリスク感覚の醸成から。
現在、様々なリスク対策に関する団体や企業が発信しているものは「リスク対策」を「様々なリスクを想定してそれぞれに対応策を定める行為」とした「事前準備」を中心にした取り組みが多く見受けられます。
通常、社内外の不祥事や偽装問題、取引先や顧客とのトラブルや社員とのトラブルなど、事業を継続する上で様々なリスクに囲まれているわけですが、正直なところ事前準備も机上の訓練も、ひいては規程体系を整備したとしても、ガバナンスが効果的に機能するかどうかは、取締役会の機能や構成メンバーのリスク感覚にかかっています。
欧米の企業からすると、日本企業は社外取締役が機能していないとか、社外取締役がそもそも居ないことが問題だとされることもありますが、それは結果論であって本質ではないと考えています。
日本企業には日本企業のスタンスがあり、経営方針や経営手法がありますから、それらを急激に変更することは好ましくなく、あくまでも会社法に従った事業運営ができていることを証明できるか否かで考えていく必要があると思います(今後の会社法改正の議論とは別次元でのお話しです)。
基本的には会社法で取締役に定められた「善管注意義務」が、日常の業務遂行の中でどこまで履行されているのかということになるのですが、日々の業務をすべて取締役が管理・監視するわけにはいかないので、時期・時代に合った規程体系を整備することによって、その責任を会社と従業員の方々と共有して頂くことが重要となります。
当社で規程体系整備を推奨する目的もここにあり、組織体として有事(リスク)を無事に乗り越えるためには、コンプライアンスが守られている状態で元々持っている組織力を活かしていくことが大切だと考えているからです。
さて、規程体系を整備し、個別に整備された規程間の隙間を埋めていく作業を行っていきますと、最後に残るのは、有事への対応を個別にどのように進めていくのかということになります。
正直なところ、業種・業界、企業規模や成り立ち、正規雇用社員と非正規雇用社員のバランスなど、様々な要因によって「有事」の発生種類及び頻度は変わってきますので、正解はありません。
そういった観点で考えてみると、仮にリスクアセスメントを強化してBCM(事業計画管理)を機能させるとしたところで、有事が発生してしまうと計画通りには進みませんから、そこではリスク感覚を持った、組織に対して安心感を与えられる企業幹部がいるかどうかが重要となります。
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